日本口腔腫瘍学会誌
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11 巻 , 4 号
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  • 吉田 俊一, 小宮 善昭, 内田 育宏, 田代 和義
    1999 年 11 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌に対するRa針組織内照射の適応範囲を検討するため, 根治目的にRa針組織内照射を実施した口腔扁平上皮癌93例を検討した。組織内照射の適用の基準は, 長径5cm以下で深さが2cm以内とした。舌82例, 口底10例, 口唇1例に対しRa針組織内照射を実施した。Ra針全体での局所制御率は92.5%で, 後発転移率は32.3%で外科的治療に劣らない治療成績であった。5年生存率は64.9%で, 局所制御率と後発転移率の結果から考えれば満足できる結果ではなかった。この原因は, 局所再発症例の治療成績の低さによると考えられ, 局所再発と放射線潰瘍を正確に区別し, 早期に後治療を実施することが重要と思われた。初診時にリンパ節転移を認めた症例は, 局所の照射のうちに, 頸部郭清術を実施したが, N1症例の5年生存率が83.3%に対しN2以上では40.6%と大きく低下し有意差を認めた。これらの結果から長径が5cm以下で深さが2cm以内, 初診時N1までであれば, Ra針組織内照射によって, 良好な治療成績が期待できると考えられた。
  • 藤林 孝司, 岡部 貞夫
    1999 年 11 巻 4 号 p. 313
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 山城 正司, 吉増 秀實, 小林 淳二, 根岸 明秀, 鈴木 鉄夫, 長澤 宏和, 宮倉 毅, 桑原 一通, 石井 純一, 岩城 博, 天笠 ...
    1999 年 11 巻 4 号 p. 314-319
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は口腔癌の術後構音機能評価の標準化である。日本語単音節発語明瞭度, 会話明瞭度検査を113名の口腔癌患者についておこない, 74名に質問票を用いた患者の自己評価を行った。これら3つは比較的簡便な方法であり会話機能評価によく用いられてきた。
    1.単音節明瞭度は評価音節数によって異なっていた。中等度と高度障害例において25音節明瞭度は100音節明瞭度に比べかなり低い値を示した。一方67音節明瞭度は障害の程度に関わらず100音節よりやや高かった。
    2.軽度障害例において単音節明瞭度と会話明瞭度の相関は弱く, より細やかな尺度を用いた評価法が望まれる。
    3.患者の自己評価 (自覚的評価) は会話明瞭度 (客観的評価) と一致せず, 患者自身は会話機能を低く評価する傾向にあった。
  • 松井 義郎
    1999 年 11 巻 4 号 p. 320-325
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では, 口腔癌術後患者の咀嚼機能の望ましい評価法体系を確立することを目的とし, さまざまな咀嚼機能評価法を用いて検討した。
    昭和大学歯科病院第一口腔外科, あるいはドイツ・ハノーバー医科大学口腔顎顔面外科にて治療を受けた口腔癌術後患者, およびそれぞれの対照群 (健常歯列の有するもの, 従来型の総義歯装着患者, インプラント治療を受けた非腫瘍患者) を対象とした。咀嚼機能は, 主観的には, 咀嚼機能の満足度に関する4段階評価法, 山本の咬度表を用いた。客観的評価として, オクルーザルプレスケールを用いた咬合圧バランス, 咬合面積の測定, さらに低粘着性発色ガム性を用いた咀嚼効率測定を行った。
    そして最後に主観評価法と客観評価法の関係について検討した。
    その結果, 主観的評価法とそれぞれの研究目的に合致した客観的評価法を併用することにより, さまざまな原因により生じる口腔癌術後患者の咀嚼機能障害を詳細に評価することができると考えられた。
  • 高橋 浩二, 宇山 理紗, 平野 薫, 佐野 司, 横山 美加, 道脇 幸博, 山下 夕香里, 山崎 善純, 高橋 奈里, 道 健一
    1999 年 11 巻 4 号 p. 326-332
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔腫瘍術後患者において早期に嚥下障害を改善させるためには適切な評価法を組み合わせ, 診断に基いて最適なリハビリテーションを行うことが必要である。
    今回はわれわれが行っている主な嚥下機能評価法について紹介する。
  • 古田 勲
    1999 年 11 巻 4 号 p. 333-337
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌術後の機能障害を少なくする工夫として, 腫瘍の性格および進展範囲を正確に把握することが不可欠である。当科では, 上記診断に基づき, 術前化学放射線療法を積極的に推進し, 臨床的, 組織学的にすぐれた成果をあげている。口腔癌の中で, とくに上顎癌切除後には顎義歯の装用が必須となるが, アパタイトインプラントの応用により, 術後すみやかに補綴を行うことが可能となり, 口腔機能の改善と患者のQOLの向上が図られている。
  • 細田 超, 光嶋 勲, 畑 毅, 出口 博代
    1999 年 11 巻 4 号 p. 338-344
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    進展口腔癌切除後の舌, 口底, 中咽頭欠損を遊離組織移植術により再建した41例を対象として, 術後嚥下機能を評価し, 機能的再建術式および誤嚥防止策を検討した。遊離組織移植片は前外側 (内側) 大腿皮弁29例 (71%) , 橈側前腕皮弁5例, 腹直筋皮弁5例, 腓骨皮弁2例が用いられた。
    口腔舌半側および舌半側欠損の再建は残存舌運動を妨げない方針で, 前大腿皮弁, 腹直筋皮弁, 橈側前腕皮弁のような柔軟な大きな皮弁により再建し, 良好な嚥下機能の回復が得られた。舌亜全摘, 舌全摘後の欠損は大きな前外側大腿皮弁により再建され, 再建舌に膨隆を持たせるために表皮を削除した皮弁近位部が充填された。この再建を受けた5例中3例は高度の嚥下障害が後遺した。再建舌に膨隆を付加し, 舌の沈下を防止する再建術式が必要である。また誤嚥を防止するために喉頭挙上術を再建時に施行すべきである。軟口蓋中咽頭側壁合併欠損は前外側大腿皮弁により再建され, 皮弁の遠位部の脂肪を削除し, 薄くして軟口蓋を修復し, 表皮を削除した近位部は側壁に膨隆を持たせるために充填された。再建軟口蓋は残存軟口蓋と良く同調した運動を示した。この再建術式により良好な鼻咽腔閉鎖と嚥下機能が得られた。
  • 松浦 正朗, 瀬戸 〓一, 佐藤 淳一, 川口 浩司, 林 和喜, 野村 隆祥
    1999 年 11 巻 4 号 p. 345-350
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1974年から1998年までの間に, 鶴見大学第一口腔外科において130例の下顎 (123例) および上顎 (7例) の再建手術が実施された。これらの症例の原疾患は悪性腫瘍が72例, 良性腫瘍が58例であった。
    骨欠損の再建には, 3種類の材料が使用された。これらは57例 (60手術) の血管柄のつかない骨移植 (腸骨58, 肩甲骨2) , 28例 (30手術) の多孔質ヒドロキシアパタイト (HAP) ブロックおよび45例の血管柄付骨移植 (腸骨41, 前腕皮弁と複合の橈骨4) から構成されていた。
    血管柄がつかない骨移植で再建された26例の悪性腫瘍症例のうち, 15例で何種類かの大型皮弁により軟組織欠損の再建がなされた。またHAPブロック再建例の11例中3例でPMMC-flap2皮弁と腹直筋皮弁1皮弁が用いられ, 血管柄付骨移植再建例35例中29例にPMMC5皮弁, 前腕皮弁24, およびソケイ皮弁3皮弁が用いられた。
    骨欠損を血管柄のつかない骨移植および血管柄付骨移植で再建した症例の半分以上に補綴治療が実施され, そのうち10例にインプラントによる補綴治療が行われた。HAPブロック再建例で補綴治療が実施できたのは1例のみであった。
    3種類の再建材料での手術の成功率は, 血管柄のつかない骨移植で86.7%, HAPブロック再建例で66.7%, 血管柄付骨移植で86.7%であった。
  • 新美 敦
    1999 年 11 巻 4 号 p. 351-355
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上顎骨部分切除症例6例に25本のインプラントを植立した。11から79か月の経過観察後, 25本のインプラントの中で抜去したものは2本, スリーブにしたものは4本であった。16症例の血管柄付き骨移植部位へ67本のインプラントを植立した。経過観察期間は9から69か月であった。抜去したインプラントはなかったが, 骨移植と同時に植立した48本中6本をスリーブとした。多施設共同研究により, 44名の患者における放射線照射部位へ植立された228本のインプラントを評価した。
    228本のうち59本は上顎骨に, 169本は下顎骨に植立された。上顎骨は59本中17本が除去され, 下顎骨の169本中3本が除去された。
  • 天笠 光雄, 亀山 洋一郎
    1999 年 11 巻 4 号 p. 356
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 天笠 光雄, 藤井 英治, 鈴木 鉄夫, 山城 正司, 小椋 一朗, 宮倉 毅, 根岸 明秀, 鵜澤 成一, 岩城 博
    1999 年 11 巻 4 号 p. 357-363
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は口腔白板症の臨床的, 病理組織学的特徴と悪性化を明らかにすること, および口腔早期扁平上皮癌の臨床的特徴を明らかにして望ましい治療成績を獲得することを目的としている。
    601白板症を有する444患者は臨床的, 病理組織学的に検討された。患者の275名は男性, 169名は女性で, 年齢は19歳~83歳であった。601病変の25%は下顎に, 24.8%は舌に, 20.8%は頬粘膜にみられた。臨床型については, 76.2%はI型 (隆起も発赤もない白板症) , 14%はII型 (発赤を伴った白板症) , 4.8%はIII型 (軽度外向性の白板症) , 5%はIV型 (高度に外向性の白板症) に分類された。
    II型の悪性化率は最も高く (21.4%) , また舌では16.4%であった。女性の悪性化率は男性より高く, 高齢者の悪性化率は50歳未満のものより高く, 上皮性異形成を伴ったものの悪性化率は伴わないものより高かった。外科の悪性化率は全ての治療法や不治療の中で最も低かった。
    88扁平上皮癌を有する86患者は臨床的に検討された。88病変中68%は舌にみられた。臨床型に関しては, 34.1%は白斑紅斑混在型に, 21.6%は白斑型と顆粒型にそれぞれ, 分類された。10年累積生存率はおよそ90%であった。
  • 立川 哲彦, 河野 葉子, 相田 忠輝, 薄井 智美, 小原 希生, 北條 正太郎, 前田 由紀子, 吉澤 美奈
    1999 年 11 巻 4 号 p. 364-371
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上皮性異形成, 初期癌, 初期浸潤癌の細胞特性を検索した。
    1.細胞増殖関連マーカーでは上皮性異形成が増強するに従い, その発現は強く見られるが, 初期癌と比較し, 有意差を認めなかった。
    2.細胞機能関連マーカーでは上皮性異形成が増強するに従い, その発現も増強し, 初期癌と比較し, 有意差を認めなかった。
    3.細胞浸潤マーカーであるマトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) は高度上皮性異形成では有意な発現の増加を認めた。加えて, 上皮下結合織にもMMPの発現を認めた。初期癌では高度上皮性異形成と同様な所見を認めた。
    4.以上のことから, 高度上皮性異形成は発癌過程の中ではすでにイニシエーションが終了した時期と考えられ, MMPの発現をみてもプロモーションが始まり, 結合織に浸潤を開始する初期の段階であることが示唆された。
  • 木下 靭彦, 本間 義郎, 井上 聡, 水沼 秀之, 水谷 成孝, 河原 健司, 小園 知
    1999 年 11 巻 4 号 p. 372-378
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌扁平上皮癌の頸部リンパ節転移の予測の可能性について, 転移と臨床的, 病理学的因子の多変量解析 (数療法化II類) およびVEGFおよびnm23-H1蛋白の免疫組織学的検索により検討した。舌癌280症例の解析結果では, 頸部リンパ節転移には浸潤様式, T分類, 原発巣の占拠部位, 臨床視診型の4因子が有意に寄与した (p<0.05) 。転移判別分析のexternal checkではStage I, IIの47例中37例 (78.7%) が正しく転移の有無が判別された (p<0.05) 。舌扁平上皮癌54例の免疫組織学的検索では, VEGFの発現が強いほどリンパ節転移頻度が高く (p<0.01) , またnm23-H1蛋白陽性群は陰性群よりもリンパ節転移頻度が低かった (p<0.01) 。すなわち, 舌扁平上皮癌stage I, IIに対し臨床病的所見による転移判別分析に, これらの免疫組織学的所見を加味することは本症の頸部リンパ節転移を予測し, 治療法を選択する上で有用と考えられる。
  • 向後 隆男
    1999 年 11 巻 4 号 p. 379-385
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌について, 病理組織学的所見と臨床像との相関, ヒトパピローマウイルス (HPV) , p53, EIAF発現などを検索した。
    HPVについては, 臨床的に口腔粘膜に異常を認めなかった56例の擦過材料よりDNAを抽出し, ユニバーサルプライマーを用いたPCRで良性型 (HPV6, 11) , 悪性型 (HPV16, 18, 31, 33, 52b, 58) を増幅し, 増幅産物の制限酵素による切断パターンによるタイピングを行った。正常粘膜上皮では, HPV6型1例, HPV16型1例が検出された。
    77例の口腔扁平上皮癌について, HPV-16, -18, -33型に対する型特異的プライマーを用いてPCRによる増幅を行い, Dot blot hybridizationによりその型を同定した。HPV DNAは77例中22例 (28.6%) に検出され, HPV16型が23例, HPV16, 18型混合が1例に認められた。
    p53変異の有無を38例の口腔扁平上皮癌についてSSCP法とdirect sequencingにより検索し, p53の変異は9例 (24%) に認められた。酵母を用いたp53のファンクショナルアッセイによる検索では, 口腔扁平上皮癌の約80%にp53の変異が生じていることが明らかになった。
    EIAF (ets-oncogene familyに属する転写因子) が細胞外基質 (ECM) の分解酵素であるマトリックスメタロプロテナーゼ (MMP) -1, -3, -9の転写を亢進させる。口腔扁平上皮癌27例を用いて, EIAFの発現をSouthern blotting, in situ hybridizationを行い検索した。15例 (55%) の腫瘍細胞にEIAFの発現が認められた。EIAFmRNAは浸潤癌17例中14例にみられ, EIAF非発現例では膨張型発育様式を示した。EIAF発現細胞はリンパ節転移例で増加した。EIAFは癌細胞の浸潤能を亢進することにより悪性度に関与していた。
  • 賀来 亨
    1999 年 11 巻 4 号 p. 386-392
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    扁平上皮癌はお互いに類似性をもっているが, 相違する所見が分化度によって様々である。口腔扁平上皮癌の悪性度による超微構造は多くの研究者により報告されている。超微構造に関する研究では高分化型扁平上皮癌と低分化型扁平上皮癌との間に明確な相違があることが報告されている。
    発癌を含む増殖障害は細胞増殖の増加率としばしば関係している。過去20ないし30年にわたり, ヒト悪性腫瘍の組織学的悪性度および腫瘍態度の指標として細胞増殖マーカーが注目されている。高倍率の視野での核分裂像数が口腔扁平上皮癌の分化度の判定のための形態学的所見の一つである。口腔腫瘍のラベリング・インデックス由来のPCNAやKi-67を含む細胞周期抗原の免疫組織学的マーカーを用いて多くの研究が報告されている。増殖能の意義はアポトーシスへ向かう細胞の数による。増殖能とアポトーシスのバランスの不一致が腫瘍発生に関係している。p53は癌抑制遺伝子としてよく知られており, 不必要な細胞のアポトーシスを誘導することができる, 変異型p53によるアポトーシスの回避は悪性腫瘍の発生に関係している。多くの研究は口腔癌の細胞増殖とp53の過剰発現と相関があることを報告している。
    本総説は扁平上皮癌の病理組織学的悪性度と超微構造的所見, 細胞増殖, アポトーシス関連遺伝子との関連について述べる。
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