抄録
本研究では, 口腔癌術後患者の咀嚼機能の望ましい評価法体系を確立することを目的とし, さまざまな咀嚼機能評価法を用いて検討した。
昭和大学歯科病院第一口腔外科, あるいはドイツ・ハノーバー医科大学口腔顎顔面外科にて治療を受けた口腔癌術後患者, およびそれぞれの対照群 (健常歯列の有するもの, 従来型の総義歯装着患者, インプラント治療を受けた非腫瘍患者) を対象とした。咀嚼機能は, 主観的には, 咀嚼機能の満足度に関する4段階評価法, 山本の咬度表を用いた。客観的評価として, オクルーザルプレスケールを用いた咬合圧バランス, 咬合面積の測定, さらに低粘着性発色ガム性を用いた咀嚼効率測定を行った。
そして最後に主観評価法と客観評価法の関係について検討した。
その結果, 主観的評価法とそれぞれの研究目的に合致した客観的評価法を併用することにより, さまざまな原因により生じる口腔癌術後患者の咀嚼機能障害を詳細に評価することができると考えられた。