日本口腔腫瘍学会誌
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口腔前癌性病変と早期扁平上皮癌の臨床
天笠 光雄藤井 英治鈴木 鉄夫山城 正司小椋 一朗宮倉 毅根岸 明秀鵜澤 成一岩城 博
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1999 年 11 巻 4 号 p. 357-363

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抄録
本研究の目的は口腔白板症の臨床的, 病理組織学的特徴と悪性化を明らかにすること, および口腔早期扁平上皮癌の臨床的特徴を明らかにして望ましい治療成績を獲得することを目的としている。
601白板症を有する444患者は臨床的, 病理組織学的に検討された。患者の275名は男性, 169名は女性で, 年齢は19歳~83歳であった。601病変の25%は下顎に, 24.8%は舌に, 20.8%は頬粘膜にみられた。臨床型については, 76.2%はI型 (隆起も発赤もない白板症) , 14%はII型 (発赤を伴った白板症) , 4.8%はIII型 (軽度外向性の白板症) , 5%はIV型 (高度に外向性の白板症) に分類された。
II型の悪性化率は最も高く (21.4%) , また舌では16.4%であった。女性の悪性化率は男性より高く, 高齢者の悪性化率は50歳未満のものより高く, 上皮性異形成を伴ったものの悪性化率は伴わないものより高かった。外科の悪性化率は全ての治療法や不治療の中で最も低かった。
88扁平上皮癌を有する86患者は臨床的に検討された。88病変中68%は舌にみられた。臨床型に関しては, 34.1%は白斑紅斑混在型に, 21.6%は白斑型と顆粒型にそれぞれ, 分類された。10年累積生存率はおよそ90%であった。
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