抄録
1988年から1998年の間に前腕皮弁による即時再建術を100症例に対して行った。口腔再建に使用した前腕皮弁について, 知覚回復, 組織学的変化, 咀嚼・会話機能を測定し長期的に判定することを目的とした。知覚機能検査では移植60カ月以降で回復傾向が見られた。前腕皮弁から採取した移植組織の形態的変化は移植後1か月から75か月まで観察が行われた。前腕皮弁の経時的変化から, 移植10カ月後より粘膜様の形態的変化を示した。アンケート調査を用いて, 構音・咀嚼機能を判定した。会話機能は殆どの患者に満足のいく回復が得られ, 術後の経過時間に併せて回復も見られた。前腕皮弁の応用は形態的のみならず機能面においても優れた皮弁であると考えられた。