日本口腔腫瘍学会誌
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維持透析患者に生じた下顎歯肉癌の一例
―周術期管理およびUFT血中動態の検討―
柳本 惣市川崎 五郎松尾 長光水野 明夫
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2000 年 12 巻 1 号 p. 18-23

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抄録
維持透析患者に生じた下顎歯肉癌に対して, 多量出血を伴う長時間手術を行う機会を得たので, 術前・術中・術後管理を中心に報告した。患者は60歳男性で, 約5年前より慢性腎不全のため, 血液透析を週3回受けていた。放射線療法および化学療法 (UFT300mg/日) を行い, 全身麻酔下に右側下顎骨半側切除術および右全頸部郭清術を施行した。UFTは透析性を有しており, 維持透析患者においても安全に使用できるものであった。術前, 貧血の補正のために輸血を行った。術後, 過剰輸液が考えられたため, 透析時の至適除水量を変更し, 除水を行った。その後, 再発や転移はみられなかったが, 術後15か月に肺合併症にて死亡した。
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