日本口腔腫瘍学会誌
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マウス膀胱癌に対するelectrochemotherapyにおけるelectric impulseの至適条件
荻原 雅彦
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キーワード: 至適条件, マウス膀胱癌
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2000 年 12 巻 4 号 p. 362-366

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抄録

electrochemotherapyは, 高電圧パルス (electric impulses: EI) によりもたらされるelectroporationを利用して制癌剤作用の増強をはかる, 癌化学療法における新しいstrategyである。本検討では, 使用するEIの至適条件に関しマウス膀胱癌株 (MBT-2) を用いてin vitro studyを行った。
bleomycin (BLM) 溶液を細胞浮遊液に添加直後, パルス幅, 電圧, パルス回数を変化させながらEIを負荷し, 殺細胞効果をMTT assayにより判定した。併せて, 各種条件のEI負荷後におけるBLM細胞内濃度についてもbioassay法により測定した。
EI自身の殺細胞効果はパルス電圧の上昇時にのみ認められ, 1200V/cm以上で電圧の上昇に伴って有意にSD活性が低下した。EIの条件を変化させた場合のBLMの作用増強効果は, 400V/cm以上, 80%csecおよび4回以上で出現し, 殊にパルス電圧の上昇に伴い最も顕著に認められた。EI負荷後におけるBLM細胞内濃度の上昇は, 殺細胞効果出現の有無と完全に一致した。EIによるBLMの増強作用は, 電気エネルギー量に最も関与するパルス電圧の上昇程度に依存していた。

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