抄録
Electrochemotherapyは抗腫瘍剤を与えた後, パルス状高電圧を腫瘍部位に加える新しい腫瘍の治療法である。今回, 我々は口腔線維肉腫を280匹のハムスターのチークポーチに移植し, 腫瘍の大きさが, 約300mm3になった時点で動物を以下の4群 (各20匹) に分けた。D-E-群の動物は, 未処置とした。D-E+群の動物は, 電気穿孔のみを行った。D+E-群の動物は, ブレオマイシン (BLM) , エトポシド (LAS) , シクロホスファミド (CPA) , シスプラチン (CDDP) , 塩酸ドキソルビシン (ADR) およびフルオロウラシル (5FU) の各薬剤のみを投与した。D+E+の動物は, 各薬剤投与とその後30分に電気穿孔の処置を行った。
BLM, LAS, CPAおよびCDDPの投与と電気穿孔の処置を同時に行った群の動物では, 有意な腫瘍増大の抑制が認められた。しかしながら, 各薬剤投与単独群および電気穿孔単独群では, 腫瘍増大の抑制はみられなかった。以上の結果より, BLM, LAS, CPAおよびCDDPのハムスター口腔線維肉腫に対する効果は, 電気穿孔の処置により増強されることが判明した。