日本口腔腫瘍学会誌
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12 巻, 4 号
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  • 小嶋 亜紀子, 倉橋 伸枝, 阪上 剛, 杉田 好彦, 田中 壮典, 劉 学, 前田 初彦, 亀山 洋一郎
    2000 年 12 巻 4 号 p. 307-320
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌におけるヒトパピローマウィルスの感染についてPCR法, 免疫組織化学的検索そしてin situ hybridization法により研究を行った。口腔扁平上皮癌では年齢, 性別, 部位, 組織型において, ヒトパピローマウィルスの感染に有意差は認められなかった。しかしながら, 本研究では口腔扁平上皮癌に数種類のHPVタイプが高率にみられ, 特にHPV-22, 38, 70は高頻度に検出された。これは, ヒトパピローマウィルスの感染が口腔扁平上皮癌の発生に関連があることを示唆している。
  • 清野 政孝, 大林 武久, 右山 裕則, 牧 正啓, 八木 義照, 太田 和俊, 坂本 真由美, 西川 文, 篠原 正徳
    2000 年 12 巻 4 号 p. 321-326
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    他臓器から口腔への腫瘍の転移は比較的稀であり, それ故にその診断に迷ったりその処置に苦慮することが多い。そこで, 今回, 当科にて経験した口腔内転移性腫瘍7例について臨床的な検討を行い, これまでの報告と比較検討した。
    口腔内への転移腫瘍の発症部位は上顎骨2例, 上顎歯肉部1例, 下顎骨4例であった。口腔内転移腫瘍の原発部位は肺3例, 前立腺, 大腸, 胆嚢, 下肢部皮膚が各1例であった。転移腫瘍の組織型は腺癌4例, 扁平上皮癌2例, 悪性黒色腫1例であった。当科初診時の転移巣の臨床所見は, 有痛性腫脹4例, 無痛性腫脹2例, 無痛性腫瘤1例であった。原発病変初回治療時から口腔内に病変を認めるまでの期間は, 5カ月以内が4例, 9カ月と10年が各1例であった。なお, 1例は口腔内転移巣の方が原発巣より先に発見された。口腔内転移巣に対する治療は, 2例のみに外科処置を行ない, 他は処置しなかった。予後は口腔内転移後短期間での死亡例 (原病死) が多く, きわめて不良であった。今回の検索の結果, 口腔腫瘍の診断においては転移性腫瘍の可能性も念頭に置き, 十分な診査を行う必要性が示唆された。
  • 大野 純, 藤田 茂之, 東條 格, 山口 昭彦, 西田 光男, 飯塚 忠彦
    2000 年 12 巻 4 号 p. 327-331
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜の悪性黒色腫は稀で, しかもその予後は極めて悪く, 確立された治療法は今なお存在しない。今回, 我々は無色素性悪性黒色腫の症例に対しインターフェロンによる免疫療法を施行し一時的ではあるが有効であった。患者は70歳男性, 主訴は右側上顎歯肉の腫脹, 疼痛, 出血および右側顎下部の腫脹。初診時, 右側上顎歯肉に辺縁不整の腫瘤を認め, 右側顎下部に不可動性, 圧痛を有するリンパ節を触知した。試験的切除により無色素性悪性黒色腫の診断を得, 118日間, 総計35.900×104IUのインターフェロンβの持続動注療法を施行し, 原発巣の消失および顎下リンパ節転移巣の著明な縮小を認めた。
  • 金山 景錫, 服部 浩朋, 鶴迫 伸一, 家森 正志, 瀬上 夏樹
    2000 年 12 巻 4 号 p. 332-336
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    20歳未満の舌癌患者はまれであることことから, どの治療法を選択するかについての統一した見解が得られていないのが実情であり, その選択に際しても術後の機能障害などの配慮が必要である。また若年者であることから病名の告知やインフォームドコンセントなど, 家族の協力が必要となってくる。今回, 18歳男子高校生の若年者舌癌の症例を経験したのでその概要を報告する。
    症例は18歳男子高校生, 1998年3月14日右側舌縁部接触痛を主訴に当科受診。右側舌縁部に境界明瞭で表面不整な硬結を伴った15×10mmの腫瘤・潰瘍性病変を認めた。初診時に生検を施行し, 中分化型扁平上皮癌 (TINOMO) の診断を得た。若年者であることから治療後の機能障害を考慮し, かつ根治的治療を目的に外科療法 (右側舌部分切除術) と術前・術後化学療法 (シスプラチン, ペプロマイシン) を1クール施行した。術後化学療法による軽度の副作用を一過性に認めたが, 局所は舌尖が保存できたことから著明な舌の機能障害は認めなかったため経過観察となった。約1年後, 頚部リンパ節転移を認めたために右側全頚部郭清術を施行した。術後17か月, 全身・局所ともに良好で経過観察中である。なお, 若年者であり, また両親の希望もあって告知をせずにいたが, 加療期間が長期に渡るにつれて病態とそれに対する治療への相違に困惑し, 精神的に不安定になった。告知せずに加療を続けて行けるように努めたが, 患者本人の治療への理解を得られず, 加療途中に両親から本人へ癌告知をせざるを得なくなるという不測の事態が生じ, あらためて若年者癌での病名の告知やインフォームドコンセントの難しさを痛感した。
  • 堀川 拓郎, 山根 源之, 外木 守雄, 野々山 進, 横澤 貴宏, 田中 陽一
    2000 年 12 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は舌に発生した乳頭状嚢腺癌の1例を経験した。
    乳頭状嚢腺癌は, 1991年, WHOの唾液腺腫瘍の分類に新たに追加されたまれな疾患で, 嚢胞様構造を持ち, この胞内に乳頭状発育を示す悪性腫瘍である。
    50歳女性の右側舌縁部の小腫瘤に対して, 舌小唾液腺腫瘍の診断のもと, 舌部分切除術を施行。病理組織像にて, 乳頭状嚢腺癌との診断が得られた。周囲に浸潤傾向やリンパ管侵襲が認められたことから, 術後, 周囲組織に放射線外部照射 (total 55.6Gy) を施行した。術後約1年の現在, 再発や転移を疑う所見は認められない。
    治療法, 予後に関して文献的考察を加え報告した。
  • 杉村 正仁
    2000 年 12 巻 4 号 p. 342
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 大村 進, 藤田 浄秀
    2000 年 12 巻 4 号 p. 343-348
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    細胞は一定の強さの電圧パルス処理を受けると, 細胞膜に可逆性の微小細孔を生じる。この過程は電気穿孔法 (electroporation) として知られ, 抗癌剤bleomycin (BLM) を癌細胞内に高濃度に取り込ませることにも応用されている。この電気穿孔法と抗癌剤との組み合わせよりなる新しい癌の治療法はElectrochemotherapy (ECT) と名づけられている。今回われわれはハムスターの歯肉癌を用いて, BLMの局注によるECTの有効性を検討した。
    本研究における電気穿孔のための電圧パルス処理条件のうち, 電圧のパルス長は99μsで, 計8パルスを1秒間隔で処理した。パルス電圧の強さは, 一般に2つの電極間の距離に対する電圧の比で示され, 今回は130v/mmを基準とした。電極はプレート型もしくはニードル型の2種類を用い, BLMの腫瘍内局注直後に電圧パルス処理を加えた。
    ECTを施行後1週間, コントロール群にはなんら抗腫瘍効果が認められなかったのに対し, ECT施行群はいずれも腫瘍体積の縮小を認めた。2週間後, プレート型電極を用いてECTを施行した群は, 腫瘍の再増殖を認めたが, ニードル型電極を用いた群は引き続き腫瘍の縮小を認め, 3週後, 6例中1例はCRを示した。以上の結果は, ECTはハムスターの歯肉癌実験モデルにおいて, BLMの抗腫瘍効果を増強したことを示し, 特にニードル型電極が有用であった。
  • 長谷川 博, 鹿野 真人, 佐藤 栄需, 臼渕 公敏, 川嵜 建治
    2000 年 12 巻 4 号 p. 349-354
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Electrochemotherapy (ECT) は腫瘍に高電圧パルスをかけることにより, 抗癌剤の抗腫瘍効果を増強する新しい治療法である。本研究では, 口腔癌の治療を想定し, ラット扁平上皮癌細胞株 (SCC158) をラットの舌へ移植し, ECTの実験的検討を行った。方法は, ブレオマイシンを投与30分後に移植舌癌に高電圧パルス (1200V/cm, 0.1msec, 8pulses) を加え, 抗腫瘍効果について検討するとともに, 腫瘍の変性効果, ならびに周囲組織の治癒過程について組織学的に観察評価した。
    さらに, ECTにおける高電圧パルスの電圧を変化させ (125-1200V/cm, 0.1msec, 8pulses) , 組織学的に至適電圧を検討した。結果は, ECT後3日目以降, 移植舌癌は消失し, 組織学的にもほぼ完全に消失することが判明し, その治癒過程は概して異常なく経過したが, 電場内の正常組織も壊死変性した。また, ECTの抗腫瘍効果は電圧が1000V/cm以上で最も強く発現したが, 電場内の正常組織の損傷も同時に高度となった。ECTは舌癌の優れた治療法であり, ヒト口腔癌への応用が期待されるが, 今後, 正常組織への損傷や転移誘発の問題を解決する必要がある。
  • 前田 初彦
    2000 年 12 巻 4 号 p. 355-361
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Electrochemotherapyは抗腫瘍剤を与えた後, パルス状高電圧を腫瘍部位に加える新しい腫瘍の治療法である。今回, 我々は口腔線維肉腫を280匹のハムスターのチークポーチに移植し, 腫瘍の大きさが, 約300mm3になった時点で動物を以下の4群 (各20匹) に分けた。D-E-群の動物は, 未処置とした。D-E+群の動物は, 電気穿孔のみを行った。D+E-群の動物は, ブレオマイシン (BLM) , エトポシド (LAS) , シクロホスファミド (CPA) , シスプラチン (CDDP) , 塩酸ドキソルビシン (ADR) およびフルオロウラシル (5FU) の各薬剤のみを投与した。D+E+の動物は, 各薬剤投与とその後30分に電気穿孔の処置を行った。
    BLM, LAS, CPAおよびCDDPの投与と電気穿孔の処置を同時に行った群の動物では, 有意な腫瘍増大の抑制が認められた。しかしながら, 各薬剤投与単独群および電気穿孔単独群では, 腫瘍増大の抑制はみられなかった。以上の結果より, BLM, LAS, CPAおよびCDDPのハムスター口腔線維肉腫に対する効果は, 電気穿孔の処置により増強されることが判明した。
  • 荻原 雅彦
    2000 年 12 巻 4 号 p. 362-366
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    electrochemotherapyは, 高電圧パルス (electric impulses: EI) によりもたらされるelectroporationを利用して制癌剤作用の増強をはかる, 癌化学療法における新しいstrategyである。本検討では, 使用するEIの至適条件に関しマウス膀胱癌株 (MBT-2) を用いてin vitro studyを行った。
    bleomycin (BLM) 溶液を細胞浮遊液に添加直後, パルス幅, 電圧, パルス回数を変化させながらEIを負荷し, 殺細胞効果をMTT assayにより判定した。併せて, 各種条件のEI負荷後におけるBLM細胞内濃度についてもbioassay法により測定した。
    EI自身の殺細胞効果はパルス電圧の上昇時にのみ認められ, 1200V/cm以上で電圧の上昇に伴って有意にSD活性が低下した。EIの条件を変化させた場合のBLMの作用増強効果は, 400V/cm以上, 80%csecおよび4回以上で出現し, 殊にパルス電圧の上昇に伴い最も顕著に認められた。EI負荷後におけるBLM細胞内濃度の上昇は, 殺細胞効果出現の有無と完全に一致した。EIによるBLMの増強作用は, 電気エネルギー量に最も関与するパルス電圧の上昇程度に依存していた。
  • 吉川 和宏, 三井 健司
    2000 年 12 巻 4 号 p. 367-372
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    分子生物学の分野で遺伝子導入法として用いられる高電圧パルス波を応用した腎細胞癌の治療法について検討した。
    ヌードマウス移植腎癌腫瘍を対象として, BLM, 5-FU, MMC, VBL, CDDPを用い, 各薬剤のLD50の1/10量を腹腔内に接種30分後, 電極を腫瘍の両脇に刺入し, 1000V/cm, 100μsec, 8パルスを負荷し, 腫瘍サイズを2日おきに計測し, その効果を観察した。その結果, 電圧負荷のみ, BLM投与のみでは, コントロールと差はなく, 腫瘍の増殖が観察されたが, BLM投与電圧負荷群では, 施行4日目に腫瘍が消失し, 明らかな腫瘍の増殖抑制, 退縮が観察された。また本処置に用いる各種抗癌剤を比較すると, 5-FU, MMC投与群ではコントロール群と差は認められず, 腫瘍の増殖が観察され, BLM投与群のみにおいて腫瘍の増殖抑制, 退縮が認められた。この処置による組織学的変化を観察したところ, 本処置2日後には核の濃縮, 核の崩壊が認められ, 細胞の壊死性変化が観察された。さらに, 4日後には核の融解により, 染色される核数の減少と, 細胞質融解が観察され, 明らかな組織の壊死が認められた。
    以上の結果より, ヌードマウス移植腎腫瘍に於いて, これまで抗腫瘍効果が認められなかったブレオマイシンでも, 高圧パルス負荷の併用により, 抗腫瘍効果が認められ, 新しい癌治療法として本法の有用性が示唆された。
  • ―症例を中心として―
    戸塚 靖則, 栗田 賢一
    2000 年 12 巻 4 号 p. 373
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 栗田 賢一
    2000 年 12 巻 4 号 p. 374-377
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    関節部骨・軟骨形成性疾患の3例について病態と治療の特徴について述べた。
    症例1: 52歳女性で, 右下顎頭内側から頭蓋底に向かい骨様腫瘤を認めた。下顎枝に垂直骨切りを加え, 下顎枝後縁と下顎頭ならびに腫瘤を一魂として摘出した。下顎頭内側1/3で腫瘤を切除した後, 下顎頭を元の位置に戻して固定した。腫瘤は3×25×15mmであり, 病理組織所見では骨軟骨腫であった。術後4年になるが再発なく経過している。
    症例2: 36歳女性で, 右関節結節に骨様腫瘤を認めた。骨様腫瘤を切除し腫瘤切除面の結節部をバーにて一層削除した。腫瘤は23×17×12mmであり, 病理組織所見では骨軟骨腫であった。術後3年になるが再発もなく経過良好である。
    症例3: 26歳女性で, 左側顎関節部の重度疼痛にて来院した。MRIにて関節腔内に多数の骨様細粒の存在が疑われたので, 我々が開発した処置様内部チャンネルを有する関節鏡を上関節腔に挿入した。鏡視下にて340個の細粒を摘出した。病理組織所見では滑膜性軟骨腫症であった。疼痛は術後に軽減し, 2年間の経過観察中, 再発はみられていない。
  • ―好酸球肉芽腫と滑膜軟骨腫症―
    柴田 考典, 須永 芳弘, 柴田 肇, 吉澤 信夫
    2000 年 12 巻 4 号 p. 378-382
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    顎関節部に発現する腫瘍および腫瘍類似疾患は極めて稀であり, 非特異的な症状や症状の誤認により, しばしば診断が遅れ, 病変の拡大を招くことがある。幾多の顎関節腫瘍および腫瘍類似疾患に関する報告があるが, それらの大部分は骨病変が下顎頭に孤立するか, 下顎枝の大部分を侵すものであることが多い。側頭骨の関節隆起あるいは下顎窩から中頭蓋窩に進展する骨吸収性病変2例を報告した。1例は側頭骨関節隆起に発生した好酸球肉芽腫, 他の1例は頭蓋内に進展した滑膜軟骨腫症と診断された。前者は関節隆起から中頭蓋窩に進展した好酸球肉芽腫の第1報告例であろう。過去にわずか7例の頭蓋内進展をきたした滑膜軟骨腫症の報告があるので, 後者は第8例目になるであろう。
    側頭骨の関節隆起あるいは下顎窩から中頭蓋窩に進展する骨吸収性病変について文献的総攬を行うとともに, 鑑別診断について考察した。
  • 近藤 壽郎, 濱田 良樹, 亀井 和利, 瀬戸 〓一
    2000 年 12 巻 4 号 p. 383-386
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    左側下顎頭に発生した軟骨芽細胞腫の1例について, 臨床的病態と画像所見, ならびに病理所見について報告した。下顎頭における発生例は過去30年間で, 本症例を含めて5例のみであり, 稀である。
  • 村上 賢一郎, 山村 功, 松本 忠士
    2000 年 12 巻 4 号 p. 387-390
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    41歳女性に発現した下顎頭骨軟骨腫に合併する稀な滑膜骨軟骨腫症の1例を報告した。下顎顔面非対称を主訴として来院し, X線ならびにCT画像から右側下顎頭の肥大とその前方に複数の骨様遊離体がみられた。手術時, 上関節腔には明らかな異常はなく, 下関節腔にのみ病変が認められた。術式としては下顎頭切除と7つの遊離体摘出を行った。
  • 小村 健, 原田 浩之, 前田 顕之
    2000 年 12 巻 4 号 p. 391-395
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    顎関節部の悪性腫瘍は極めてまれであり, 顎関節に原発するもの, 周囲組織に発生し顎関節に進展するもの, および顎関節に転移するものに大別される。症状は他の顎関節疾患に類似しているが, 進行は急速である。診断には詳細な病歴聴取, 視診, 触診, CT, MRI, 99mTcや67Gaシンチなどの画像診断が必須であり, 確定診断には生検ないし細胞診を必要とする。その中で超音波ガイド下穿刺吸引細胞診は有用である。治療は, 原発性腫瘍では拡大手術が第一選択となり, 経耳下腺的アプローチが有用である。進展性や転移性腫瘍では原発腫瘍の状況により放射線治療, 化学療法あるいは手術を選択し, 転移性腫瘍でもQOLの向上のための手術を検討すべきである。
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