日本口腔腫瘍学会誌
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顎関節における骨・軟骨形成性疾患について
栗田 賢一
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2000 年 12 巻 4 号 p. 374-377

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抄録

関節部骨・軟骨形成性疾患の3例について病態と治療の特徴について述べた。
症例1: 52歳女性で, 右下顎頭内側から頭蓋底に向かい骨様腫瘤を認めた。下顎枝に垂直骨切りを加え, 下顎枝後縁と下顎頭ならびに腫瘤を一魂として摘出した。下顎頭内側1/3で腫瘤を切除した後, 下顎頭を元の位置に戻して固定した。腫瘤は3×25×15mmであり, 病理組織所見では骨軟骨腫であった。術後4年になるが再発なく経過している。
症例2: 36歳女性で, 右関節結節に骨様腫瘤を認めた。骨様腫瘤を切除し腫瘤切除面の結節部をバーにて一層削除した。腫瘤は23×17×12mmであり, 病理組織所見では骨軟骨腫であった。術後3年になるが再発もなく経過良好である。
症例3: 26歳女性で, 左側顎関節部の重度疼痛にて来院した。MRIにて関節腔内に多数の骨様細粒の存在が疑われたので, 我々が開発した処置様内部チャンネルを有する関節鏡を上関節腔に挿入した。鏡視下にて340個の細粒を摘出した。病理組織所見では滑膜性軟骨腫症であった。疼痛は術後に軽減し, 2年間の経過観察中, 再発はみられていない。

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