抄録
1978年から1997年の20年間に口腔悪性腫瘍切除後の再建術を施行した症例について臨床的検討を行った。
テルダーミスやDuo-Activeなどの人工材料による再建術は34.0%, 舌弁や頬粘膜弁などの局所皮弁は18.9%, 胸鎖乳突筋皮弁は14.7%を占めた。遊離皮弁や大胸筋皮弁などの大規模な再建術症例は少なかった。
胸鎖乳突筋皮弁施行例の原発巣は舌が9例, 口底が19例, 下顎歯肉が24例, 頬粘膜が3例, 口峡咽頭部が7例であり, それらのT分類はT1が2例, T2が20例, T3が11例, T4が29例であった。広頸筋皮弁施行例の原発巣は口底が4例, 下顎歯肉が1例, 頬粘膜が1例であり, それらのT分類はT1が1例, T2が3例, T3が1例, T4が1例であった。
胸鎖乳突筋皮弁や広頸筋皮弁はマイクロサージェリーによる遊離皮弁に比して多くの手術時間を要せず, 肩甲舌骨筋上部郭清術や機能的郭清術をうまく適用すれば, これらの皮弁の適応が拡大するものと思われる。