日本口腔腫瘍学会誌
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13 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • ―特に未記載および後継者に託したい事項を中心として― [I] 1954年より1970年に渡る16年間
    清水 正嗣
    2001 年 13 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1954年から2001年まで, 著者清水は口腔腫瘍・癌腫の臨床的並びに基礎的研究に努めてきた。そのうち1981年までは東京医科歯科大学で, その後は大分医科大学で1996年まで, 更に現在までは佐伯の現病院においてである。最初, 彼は臨床的修練研究を3人の教授, 放射線科の足立, 口腔外科の中村と上野のもとで実施した。本総説において清水は, 教官から教えられていた期間における厳しい臨床的経験を記述した。当時, 口腔ガン治療の可能性は口腔外科に限らず一般に厳しい制約のもとにあり, 歴史的年代の推移によって変わってきた。それ故, 彼は現在の状況からは信じ難いようないくつかの悲しい症例に遭遇した。例えば, 下顎歯肉ガンに対する下顎切除術の年齢制限が60歳以下であったなどその一例である。口底ガン女性に対する手術のための最初の全身麻酔の試みは失敗してしまったが, その原因は一口でいって, 準備の不足であった。でも1954年, 彼は手術不能と判断された上顎洞ガン男性症例が, 放射線外照射単独によって完治した幸運な結果を初めて観察することができた。本総説は今回, 清水がまだ若い口腔外科修練医であった1970年迄をもって終わるが, 更に機会が与えられれば2001年までの年代記録を報告したい。
  • 久保田 裕美, 野口 誠, 竹村 佳奈子, 宮崎 晃亘, 巣山 達, 木戸 幸恵, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉扁平上皮癌の予後因子を明らかにする目的で73例の下顎歯肉扁平上皮癌を対象にCoxの比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行った。生存率に影響を及ぼす因子として選択されたのは, X線骨吸収様式 (p=0.0055) と組織学的頸部リンパ節転移の有無 (p=0.0277) の2項目であった。X線骨吸収様式別の疾患特異的5年累積生存率は, no change: 93.5%, erosive type: 92.9%でinvasive typeの症例は53.6%であった。X線骨吸収様式は下顎歯肉癌細胞のいろいろな性質が集約した表現型である可能性が示唆された。一方、組織学的頸部リンパ節転移の有無別の疾患特異的5年累積生存率はpN (+) : 54.1%でpN (―) : 91.8%であった。下顎歯肉扁平上皮癌では、骨吸収様式がinvasive typeでpN (+) の症例は著しく予後が不良であることが明らかとなった。
  • 小松原 秀紀, 梅田 正博, 福田 全孝, 西松 成器, 渋谷 恭之, 横尾 聡, 古森 孝英
    2001 年 13 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    低線量率組織内照射 (LDR) は高い局所制御率および形態・機能の温存の観点より, 早期舌癌に対して確立された治療法とされてきたが, LDRには術者の被爆, 患者の隔離等, 種々の問題点もある。高線量率組織内照射 (HDR) はこれらの問題点を解決できることから, 近年さまざまな領域の悪性腫瘍に試みられるようになった。今回stage I・II舌癌に対するHDRの有用性について検討したので報告する。対象は1995~1999年までにHDRを施行したStage I・II舌癌患者25人で, これらの患者の局所制御率, 後発転移率, 生存率, 骨障害率を1980年~1995年にLDRを施行した71名と比較検討したところ, 以下の結果を得た。
    1) 局所制御率はHDR群ではStage I: 75%, stage II: 54%, LDR群ではstage I: 91%, stage II: 84%であった。
    2) 後発転移率は両群の間に差は認められなかった。
    3) 生存率はHDRではstage I: 64%, stage II: 38%, LDRではstage I: 85%: stage II: 71%であった。
    4) 放射線性骨壊死はHDR群が早期にかつ高頻度に発生した。
    5) 以上の結果より, 今後多施設で検討されるまでは, HDRを施行する際には厳重な注意が必要であると考えられた。
  • ―特に胸鎖乳突筋皮弁, 広頸筋皮弁について―
    田中 信幸, 小浜 源郁, 山口 晃, 荻 和弘, 出張 裕也, 中野 敏昭
    2001 年 13 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1978年から1997年の20年間に口腔悪性腫瘍切除後の再建術を施行した症例について臨床的検討を行った。
    テルダーミスやDuo-Activeなどの人工材料による再建術は34.0%, 舌弁や頬粘膜弁などの局所皮弁は18.9%, 胸鎖乳突筋皮弁は14.7%を占めた。遊離皮弁や大胸筋皮弁などの大規模な再建術症例は少なかった。
    胸鎖乳突筋皮弁施行例の原発巣は舌が9例, 口底が19例, 下顎歯肉が24例, 頬粘膜が3例, 口峡咽頭部が7例であり, それらのT分類はT1が2例, T2が20例, T3が11例, T4が29例であった。広頸筋皮弁施行例の原発巣は口底が4例, 下顎歯肉が1例, 頬粘膜が1例であり, それらのT分類はT1が1例, T2が3例, T3が1例, T4が1例であった。
    胸鎖乳突筋皮弁や広頸筋皮弁はマイクロサージェリーによる遊離皮弁に比して多くの手術時間を要せず, 肩甲舌骨筋上部郭清術や機能的郭清術をうまく適用すれば, これらの皮弁の適応が拡大するものと思われる。
  • ―外科病理における臨床医の役割―
    太田 嘉英
    2001 年 13 巻 1 号 p. 31-32
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
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