低線量率組織内照射 (LDR) は高い局所制御率および形態・機能の温存の観点より, 早期舌癌に対して確立された治療法とされてきたが, LDRには術者の被爆, 患者の隔離等, 種々の問題点もある。高線量率組織内照射 (HDR) はこれらの問題点を解決できることから, 近年さまざまな領域の悪性腫瘍に試みられるようになった。今回stage I・II舌癌に対するHDRの有用性について検討したので報告する。対象は1995~1999年までにHDRを施行したStage I・II舌癌患者25人で, これらの患者の局所制御率, 後発転移率, 生存率, 骨障害率を1980年~1995年にLDRを施行した71名と比較検討したところ, 以下の結果を得た。
1) 局所制御率はHDR群ではStage I: 75%, stage II: 54%, LDR群ではstage I: 91%, stage II: 84%であった。
2) 後発転移率は両群の間に差は認められなかった。
3) 生存率はHDRではstage I: 64%, stage II: 38%, LDRではstage I: 85%: stage II: 71%であった。
4) 放射線性骨壊死はHDR群が早期にかつ高頻度に発生した。
5) 以上の結果より, 今後多施設で検討されるまでは, HDRを施行する際には厳重な注意が必要であると考えられた。
抄録全体を表示