日本口腔腫瘍学会誌
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歯肉癌との鑑別が困難であった増殖性天疱瘡の1例
松浦 政彦石川 義人濤岡 一司福田 喜安工藤 啓吾武田 泰典
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2001 年 13 巻 3 号 p. 95-98

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抄録

増殖性天疱瘡は尋常性天疱瘡の亜型とされる稀な自己免疫性疾患である。今回われわれはエックス線写真で骨破壊像がみられ, 下顎歯肉癌との鑑別が困難であった増殖性天疱瘡の1例を経験したので, その概要を報告する。
症例は49歳の男性で, 左側下顎歯肉の腫脹を主訴に来院した。初診時の口腔内所見では下顎左側歯肉に24×16mmの腫瘤が認められ, 潰瘍状を呈する部分も存在した。エックス線写真で下顎骨に骨破壊像が認められた。また, CTと頸部超音波検査にて頸部リンパ節の腫大が認められた。生検を施行し増殖性天疱瘡の病理診断がなされた。しかし, 臨床的に悪性腫瘍を完全に否定できないため, 全身麻酔下に病巣の切除術を施行した。病理組織診断は増殖性天疱瘡であった。術後良好に経過しているが, 他部位にも症状出現の可能性があるため, 今後も十分な経過観察が必要である。

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