2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 229-233
舌癌の造影CT画像所見と術前療法効果の関係を知る目的で本研究を行った。1996年から2000年における術前療法後に外科的切除を行った舌扁平上皮癌10例の造影CT像における造影効果と術前療法効果ならびに組織学的所見との比較検討を行った。
造影CT像において術前療法前の造影効果が強いほど組織学的治療効果が高い傾向にあった。これらの症例は組織学的にリンパ球浸潤が強く, 血管数が多い傾向にあった。術前療法による造影効果の減少した症例では線維性間質の増生に伴う血管およびリンパ球浸潤の減少がみられ, 造影効果の増強した症例では血管に富んだ肉芽組織の増生がみられた。これらの結果より造影CT像は間質の組織所見を反映し, 術前療法による造影CT像の変化は組織の治療効果による変化を反映している可能性が示唆された。