日本口腔腫瘍学会誌
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13 巻 , Suppliment 号
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  • 太田 嘉英, 唐木田 一成, 青木 隆幸, 山崎 浩史, 島村 和男, 槻木 恵一
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 201-203
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌の治療成績向上のためには病理学的検索の精度を向上させることが必要不可欠である。病理学的検索精度を上げることを目的に, 固定前の検体, 生検標本, 表在性病変切除などによる薄い標本, 下顎歯肉癌および舌癌の手術標本について実際に私達が行っている病理組織検体処理を供覧した。病理学的検索精度を高めるためには, 臨床医, 病理医の双方が標本作成および観察の各段階においてそれぞれの役割を充分に果たす事と, 緊密な連携による情報の交換, 共有が最も重要である思われた。
  • 佐藤 徹, 栃原 しほみ, 清河 年剛, 臼井 弘幸, 浅田 洸一, 石橋 克禮, 雨宮 愛, 菅原 信一
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 205-210
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌の病理組織学的予後因子としての脈管侵襲 (VI) と神経周囲浸潤 (PNI) の意義を評価するために, 一次治療で切除術を施行した48例51病変における舌扁平上皮癌の全割標本を検索した。脈管腔を正確に同定し, アーティファクトによる偽陽性を除くため, VIの検索については脈管内皮細胞を検知できる第皿因子関連抗原とCD31に対する抗体を用いた免疫組織化学を行った。加えて, 血管への腫瘍塞栓同定のために弾性線維染色も行った。
    VIとPNIはそれぞれ9病変 (17.6%) , 7病変 (13.6%) に認めた。VIを認めた9病変の内訳は, 4病変にリンパ管侵襲 (ly) を, 9病変すべてに静脈侵襲 (v) を認めた。すべてのT1病変と深達度4mm以下の病変ではVIもPNIも認めなかった。しかし深達度10mm以上の病変では, それ以下の病変よりVIの頻度が有意に高かった (p<0.01) 。臨床的には, VIのある病変では頸部転移率がより高かったが有意差は認めなかった。v (+) ・ly (+) の病変では, v (-) ・ly (-) の病変より術後の局所頸部再発率が有意に高かった (p<0.05) 。PNIについては腫瘍の深達度との関連が伺えたが, 有意な予後因子ではなかった。
    VIはその頻度自体が低いので, vとlyそれぞれの予後因子としての価値は本研究からも依然不明瞭のままであった。
    Vとlyの正確な定義のもとに, その価値を明らかにするための多施設研究が望まれる。
  • 桐田 忠昭, 今井 裕一郎, 下岡 尚史, 山中 康嗣, 美島 健二, 岡部 貞夫, 杉村 正仁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 211-216
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌扁平上皮癌切除標本83例 (Stage I: 22例, early Stage II: 18例, advanced Stage II: 13例, StageIII: 23例, Stage IV: 7例) における検索にて以下のことが明らかとなった。
    1.手術単独で治療を行った早期舌癌 (Stage I, early Stage II) 症例において, 1) 原発巣再発と関連する因子は, 側方切除断端よりも深部切除断端距離がより関与しているものと思われ, その安全域は最低10mm必要であるものと考えられた。2) 腫瘍最大径と深達度とは相関が見られたが, 最大径20mm以下のT1では, 深達度はほぼ5mm程度と思われた。3) 手術時には, 腫瘍深達度patternを考慮する必要があるものと考えられた。
    2.術前治療施行後手術を行った進展舌癌 (advanced Stage II以上) 症例においての検討では, 術前治療における腫瘍細胞の残存様式が局所再発に強く影響するものと思われた。
  • 田中 陽一, 山根 源之, 朝波 惣一郎
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 217-221
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌の治療法の進歩によって, 深達度診断など多くの情報が必要となったが, 病理組織学的な検索の基本となる手術材料の取扱いは未だ統一をみない。舌癌手術材料の病理学的検索の標準化を目的として, 我々が行っているBreadloaf step sectioning (BLSS) のsampling法を述べた。また通常の検索とともに, 病理報告書に記載している, 癌の大きさ (pT) , 切除断端の異型上皮の有無 (dys) , 深達度 (depth) , 深部浸潤と側方伸展との関係 (ie) について記述した。さらに本法を活用するための口腔外科医と病理医との連携について述べた。
  • 出雲 俊之
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 223-228
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉扁平上皮癌102症例について臨床病理学的な検索を行った。下顎歯肉癌は, 下顎骨への浸潤様式によって病理組織学的に2種類の癌Expansive type (80%) とInvasive type (20%) に分類することができる。すなわち, Expansive typeとは癌と骨組織の境界線が平滑かつ連続的なもの, Invasive typeとは境界線が不整かつ不連続で, 癌が骨梁間へ浸潤性の広がりを示すものである。
    両型の下顎歯肉癌を比較検索すると, この下顎骨浸潤様式は, X線的下顎骨吸収像と強い相関が認められ, Expansive type症例の骨吸収像はpressure type70%, moth-eaten type30%であり, Invasive type症例はすべてmoth-eaten typeであった。組織学的には, Expansive type症例では, 癌の浸潤よりも骨吸収が先行するのに対し, Invasive typeでは癌浸潤が骨吸収よりも先行するかあるいは同時に進行していた。前者では骨再形成期のHowship窩が比較的多くみられるのに対し, 後者では骨吸収期のHowship窩が目立つ。両型の組織学的検索から, 骨吸収像を伴わない癌の下顎管内進展は, Invasive type症例にのみ見られる浸潤像であった。両型の全症例における5年生存率は, Expansive typeが75%, Invasive typeが32%であった。
    これらの検索結果から, 下顎歯肉癌の病理組織学的分類であるExpansive type, Invasive typeは, 口腔癌を扱う我々にとって有用な分類と考えられる。
  • 中野 敏昭, 野口 誠, 宮崎 晃亘, 針谷 靖史, 久保田 裕美, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 229-233
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌癌の造影CT画像所見と術前療法効果の関係を知る目的で本研究を行った。1996年から2000年における術前療法後に外科的切除を行った舌扁平上皮癌10例の造影CT像における造影効果と術前療法効果ならびに組織学的所見との比較検討を行った。
    造影CT像において術前療法前の造影効果が強いほど組織学的治療効果が高い傾向にあった。これらの症例は組織学的にリンパ球浸潤が強く, 血管数が多い傾向にあった。術前療法による造影効果の減少した症例では線維性間質の増生に伴う血管およびリンパ球浸潤の減少がみられ, 造影効果の増強した症例では血管に富んだ肉芽組織の増生がみられた。これらの結果より造影CT像は間質の組織所見を反映し, 術前療法による造影CT像の変化は組織の治療効果による変化を反映している可能性が示唆された。
  • 岩渕 博史, 高森 康次, 朝波 惣一郎, 内山 公男, 田中 陽一
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 235-238
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 舌癌原発巣における腫瘍範囲のMR像診断について検討を行った。対象は切除手術を行った舌扁平上皮癌T2~T4症例でMR像, CT像を撮影した42例である。MR像の感度は90.9%, CT像では35.1%で, 有意差をもってMR像の方が高かった。T1WI, T2WI, T1Gd-DTPAの中ではT1Gd-DTPAが最も感度が高かった。
    MR像と触診の比較では腫瘍範囲に差はなかった。しかし, MR像と病理組織像では, MR像の方が短径では約40~50%, 深さでは約60~70%大きく検出された。
  • 有吉 靖則, 島原 政司
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 239-243
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌扁平上皮癌40症例を対象に, dynamic enhanced MRIにおける境界性状と臨床的ならびに病理組織学的所見との関連性の検索を行った。撮像は冠状断T1強調像 (スピンエコー法, TR/TE=200/20) にて行った。関心領域 (ROI) 内の信号強度を測定し, 各時点におけるSE/Nを算出し, SE/Nが最高値を示した時点の画像において境界性状の評価を行った (明瞭型, 不明瞭型) 。臨床的には, 進展度, 発育様式, 病理組織学的には浸潤パターン, ステージならびに単核細胞浸潤と境界性状との関連性につき検索した。結果は以下の如くである。
    1.明瞭型を示す症例と比較し, 不明瞭型を示す症例が多く認められた。
    2.臨床的には, 内向型腫瘍は外向型ならびに中間型腫瘍と比較し, 造影MRIにおいて周囲組織との境界が不明瞭に描出される傾向が認められた。
    3.病理組織学的には, 浸潤パターンと造影MRIの境界性状との間に有意な関連性が認められた (p<0.01) 。
    以上より, 造影MRIにおける周囲組織との境界性状は, 腫瘍浸潤範囲をMRIにて診断する際, 重要な所見の一つであることが示された。
  • 楠川 仁悟, 福田 健司, 古賀 真, 亀山 忠光
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 245-251
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔内超音波検査 (US) およびMRIによる舌癌の悪性度評価を行うために, 舌扁平上皮癌57例について検討した。7.5MHzマイクロプローブを用いた口腔内USおよびガドリニウム―GTPA造影T1強調画像におけるMR所見において形状, 境界, 内部性状および深達度についてそれぞれ検討した。口腔内USでは, 組織学的深達度1mm未満であった病変を除いた57例中53例で (93.0%) で低エコー域として描出された。一方, MRIによる腫瘍描出率は80.9%であった。US所見と浸潤様式および間質反応といった病理所見との間で有意な関連が認められた。硬性間質の中をビマン性に浸潤する腫瘍では, US上で不整な形状, 不明瞭な境界, 不均一な内部性状を示していた。さらに, USおよびMRIで8.0mm以上の深達度を示す腫瘍では8.0mm未満の腫瘍に比べて有意に高率に頸部転移していた。
    これらのUS所見は, 臨床的にNO症例の潜在的頸部転移を予測する上で有用な情報を与える。MRIを併用した口腔内USに腫瘍の進展範囲や悪性度を評価する上で有効である。とくにExcisional biopsyでは, 術前の口腔内USはルーチンに行われるべきである。
  • 中山 英二, 湯浅 賢治, 田畑 修, 河津 俊幸, 筑井 徹, 神田 重信, 中村 誠司, 吉川 博政, 大部 一成, 池邊 哲郎, 大石 ...
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 253-256
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    研究の目的は下顎歯肉扁平上皮癌の周囲軟組織進展のCT所見と実際の腫瘍進展範囲と比較し, CTによる腫瘍進展の診断能を明らかにすることである。
    対象は1992年~1999年の間に九大歯学部附属病院で腫瘍切除術がなされ腫瘍進展範囲が肉眼的または病理組織学的に確定した77例である。各症例の術前のCT像を3名の日本歯科放射線学会認定医が観察し, 周囲軟組織への腫瘍進展の有無について「ある」, 「あるかもしれない」, 「わからない」, 「ないかもしれない」, 「ない」の5段階で評価した。
    周囲軟組織への進展部位は, 1) 頤舌筋, 2) 顎舌骨筋, 3) 内舌筋, 4) 内側翼突筋, 5) 咬筋, 6) 唇頬側組織, 7) 広頸筋である。この判定結果を実際の腫瘍進展範囲と比較し, CTによる腫瘍の軟組織進展の正診率を各観察者のROC曲線下の面積Az値の平均値を指標として求めた。結果としてCT像による腫瘍進展の正診率は頤舌筋0.86, 内側翼突筋0.86, 顎舌骨筋0.82, 咬筋0.80, 内舌筋0.76, 唇頬側組織0.71, 広頸筋0.65であった。結論として内舌筋, 唇頬側組織, 広頸筋への進展の判定には視診, 触診を含む臨床所見を参照してCT像を注意深く読影することが必要と考えられた。
  • 林 孝文, 新垣 晋, 星名 秀行
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 257-260
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    目的: 舌癌の後発頸部リンパ節転移を予測するために, 原発巣の厚みを考慮に加えて超音波断層撮影法 (US) の診断精度をretrospectiveに検討した。
    対象: 1994年12月から2000年2月までの間に頸部USを施行し, 初回に転移所見の認められなかった舌癌30例。
    原発巣の厚みは口腔内探触子により計測し, 適応困難な場合は造影CTにより評価した。頸部US診断は頸部郭清症例では郭清術直前の検査を, 非郭清症例では直近の検査をもって最終判定とした。転移の有無の確定は, 郭清症例では病理組織学的診断に基づき, 非郭清症例では原発巣治療後2年以上の経過観察で転移リンパ節が出現しなかった場合に転移無しと判断した。
    結果: 30症例の内訳は, 郭清症例15例 (転移有り10例・転移無し5例) ・非郭清症例15例 (すべて転移無しと判断) であった。これに対する頸部USの最終判定の診断精度は感度90%・特異度95%・正診率93%であった。一方, 原発巣の厚みが1.0cmを越える場合に潜在的リンパ節転移有りとすると, 潜在的転移の予測における診断精度は感度70%・特異度85%・正診率80%であった。
    結論: 原発巣の厚みが1.0cmを越える場合に潜在的転移有りと予測するのが妥当と思われた。しかしUSによる定期的な経過観察が確実であれば, 後発転移を早期に発見でき最終的な診断精度はこれを上回るため, 予防的処置の適応は患者の環境やQOLを考慮して総合的に判断すべきであろう。
  • 楠川 仁悟, 亀山 忠光
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 261-265
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    悪性の診断のために通常組織内生検が行われるが, 腫瘍への切り込みは癌細胞播種や悪性度を助長する危険がある。直視直達が可能な口腔では, 注意深い視診と触診のみで悪性病変か否かの診断は可能である。そこでわれわれは, 早期の限局性口腔癌に対して, 組織内生検による癌細胞播種を防ぎ, 原疾患の制御のためにExcisional biopsyを行っている。原則的に, 原発巣の切除のみで十分に治癒が望める病変にExcisional biopsyを適応している。悪性度評価のために, 臨床視診型に基づいて口腔内超音波検査による腫瘍深達度 (usD) 評価を行っている。表在型やusD15mm未満の外向型ではルゴール染色を併用して切除し得る。さらに, usD8mm未満の内向型は術前化学療法を併用したExcisional biopsyにより治療できる。確実な切除のために, 術中迅速凍結切片診断を併用した凹型あるいは箱形切除を行っている。
    Excisional biopsyは口腔癌患者のQOL向上に効果的な治療法である。
  • 宮崎 晃亘, 野口 誠, 木戸 幸恵, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 267-270
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    excisional biopsyを適用した舌癌62例を対象に, 臨床所見 (腫瘍長径, 発育様式) と病理組織学的所見 (腫瘍深達度, 癌浸潤様式) の関係についてretrospectiveに検討した。鷲津らの分類に基づく臨床視診型別の腫瘍深達度は腫瘤硬結型で大きく, 外向発育型でも一部の肉芽型で大きい症例がみられた。内向発育型では腫瘍長径と深達度との間に正の相関がみられた。さらに, 外向発育型の大部分が低悪性度癌であったのに対し, 内向発育型では高度浸潤癌が増加していた。したがって, 内向発育型腫瘍では詳細な臨床的観察のもとに十分な深部切除量を取る必要がある。
    原発巣制御率100%, 5年累積生存率は94.6%と良好であった。早期舌癌に対するexcisional biopsyは有用かつ安全であるという結論に達した。
  • 木戸 幸恵, 野口 誠, 井手 隆, 宮崎 晃亘, 金城 尚典, 久保田 裕美, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 271-276
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Stage I, II口腔扁平上皮癌の治療法の違いによる転帰への影響を明らかにする目的で, 切除生検後術前化学療法 (IB+chemo) 施行例124例と摘除生検 (EB) 施行例61例を対象に各種予後因子についてretrospectiveに比較検討を行った。術前化学療法の効果は大星・下里分類により, III+IV (n=32) , II b (n=48) , I+II a (n=44) に分類し, EBとの比較検討を行った。単変量解析, および多変量解析にてI, IIaではEBに比べ有意に原発巣再発, 頸部転移が多かった。さらに, Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析にて術前化学療法効果 (EBとの対比) が予後因子として選択された。EBに比べ, IB+chemoを施行し, その効果がI, II aであったものでは, 再発, 転移が多く予後不良因子であることが明らかとなった。
  • 矢島 安朝, 野間 弘康, 横尾 恵子, 山本 信治, 野村 武史, 笠原 清弘, 畑田 憲一, 高野 正行
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 277-282
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌周囲には, 上皮性異形成のひろがりがみられることが多く, これらの取り残しが局所再発や二次性癌の発現に深くかかわっているといわれている。特にexcisional biopsyの対象となる表在性病変では, これら上皮性異形成の発現が多い。
    この研究の目的は, ヨード生体染色を用いexcisional biopsyの切除範囲を設定することの有用性を検討することである。対象としては舌癌49症例をA群25例 (ヨード染色なし) とB群24例 (ヨード染色応用) に分け比較検討した。その結果局所再発はA群: 4例 (16%) , B群1例 (4.2%) であり, 迅速診断で切除断端に上皮性異形成 (+) はA群: 8例 (32%) , B群: 2例 (8.2%) であった。
    したがってexcisional biopsyの切除範囲設定に際して, ヨード生体染色は腫瘍周囲にひろがる上皮性異形成を明確に描出できるため, 大変有用であると考えられた。
  • 平塚 博義, 仲盛 健治, 知念 克二, 比嘉 努, 上田 剛生, 津波古 判, 喜舎場 学, 砂川 元
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 283-288
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌135例を対象に上皮細胞接着因子であるEカドヘリンーカテニン複合体の発現様式を免疫組織学的に検索し, その臨床的意義に関する検討を行った。Eカドヘリンは55%, αカテニンは66%, βカテニンは61%, γカテニンは59%の症例に発現の減弱を認めた。各々のタンパクの発現様式は, 癌の発育様式, 浸潤様式, 臨床病理学的悪性度評価および組織学的に確認された頸部リンパ節転移との間に有意な関係が認められた。さらに, 各タンパクの減弱例は非減弱例と比較すると, 有意に生存率が不良であった。これらの結果から, カドヘリンーカテニン複合体の発現異常は, 口腔扁平上皮癌の浸潤, 転移に関与していることが示唆された。しかし, 多変量解析の結果, リンパ節転移の評価に関しては, N評価に劣り, 予後に関しては, TNM病期を超えるにいたらなかった。一方, Stage I, IIの早期癌を対象にリンパ節転移との関係を検討すると, Eカドヘリン, カテニンファミリーの発現異常のみが転移との間に有意な関係を有していた。以上の結果から, Eカドヘリン, カテニンファミリーの発現異常の検索は, 早期口腔扁平上皮癌の転移の予測, 診断に有用であることが示唆された。
  • 森山 万紀子, 中川 清昌, 山本 悦秀
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 289-292
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上皮性の腫瘍細胞は, 悪性転換の過程で細胞間接着能が減弱する傾向にあり, その要因として細胞接着因子E-cadherinの発現の減少が考えられている。E-cadherinの発現は, 主として転写レベルで制御されており, 線維芽細胞や上皮性腫瘍細胞では転写因子snailがE-cadherinの発現を抑制することが示されている。また, metastasin (mts-1/S100A4) は, 細胞運動に関与し, 癌の浸潤や転移に促進的に作用する内在性因子と考えられている。そこで, 浸潤性の異なる口腔扁平上皮癌細胞株における, E-cadherinと関連タンパク質, snailおよびmetastasinの発現の様相を, タンパクならびに遺伝子レベルで解析するとともに, 口腔扁平上皮癌の組織標本におけるmetastasinの発現について, 免疫組織化学的に検索し, これら因子と浸潤・転移との関連性について比較検討した。その結果, タンパク, 遺伝子レベルともに, 浸潤様式4D型の細胞株では, E-cadherinの発現は認めなかった。また, RT-PCRによる遺伝子発現様式の解析で, 浸潤様式4D型の細胞株では, snailとmetastasinはいずれも強く発現し, E-cadherinの発現と逆相関していた。さらに, 組織標本の免疫組織化学的検索から, metastasinは高浸潤症例で高率に発現を認めた。以上より, 口腔扁平上皮癌の浸潤・転移の過程で, 細胞間接着能が減弱し, その要因としてE-cadherinが重要な役割を担っていることが示唆された。また, E-cadberinの発現制御にsnai1が関与し, 口腔扁平上皮癌においてもmetastasinが腫瘍の浸潤と関連し, 予後因子となる可能性が示唆された。
  • 横山 和博, 鎌田 伸之, 長山 勝
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 293-300
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    細胞間接着分子の消失と細胞外基質の分解は癌細胞の浸潤・転移に必須である。E-カドヘリンはカルシウム依存性の細胞間接着因子であるが浸潤型扁平上皮癌ではその発現の低下が報告されている。最近, 転写因子であるSnailがE-カドヘリンの転写抑制因子として同定された。われわれはE-カドヘリンを不均一に発現しているHOC719細胞を見出し, これよりE-カドヘリン陽性細胞 (HOC719-PE) と陰性細胞 (HOC719-NE) を分離・樹立した。HOC719-PE細胞は上皮細胞様形態を呈し, 一方HOC719-NE細胞は線維芽細胞様形態を呈していた。さらに, HOC719-PE細胞に比べて, HOC719.NE細胞は高い浸潤能を有しMMP-2とSnailの発現が高かった。次にSnail発現ベクターをE-カドヘリン陽性細胞にトランスフェクションしてその影響を検討した。A431細胞とHOC719-PE細胞におけるE-カドヘリンプロモーターの転写活性はSnailトランスフェクションにより低下した。Snail安定発現A431細胞は上皮細胞様形態から線維芽細胞様形態に変化し, その浸潤能が上昇した。RT-PCRによる検討の結果, これらの細胞におけるE.カドヘリンの発現は低下し, MMP-2の発現は上昇した。さらにルシフェラーゼアッセイの結果, A431細胞とHOC719-PE細胞におけるMMP-2プロモーターの転写活性はSnailにより上昇することが示された。
    以上の結果から, Snailは細胞形態を変化させE-カドヘリンとMMP-2の発現を調節することによって, 癌細胞の高度浸潤能獲得過程に関与することが示唆された。
  • 相田 忠輝, 入江 太朗, 立川 哲彦
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 301-306
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌扁平上皮癌のリンパ節転移を解析するためには, リンパ節高転移能を有する細胞株の樹立が必要である。われわれは, ヒト口腔扁平上皮癌細胞株 (SAS, BSCC) を用いて, ヌードマウス舌への同所移植を繰り返すことにより, リンパ節高転移能を有する口腔扁平上皮癌細胞株の樹立に成功したので, この細胞株の性状解析をあわせて報告する。
    樹立し得た2種類の高リンパ節転移細胞株ともに, 舌への生着率並びに頸部リンパ節への転移率は100%を示し, もとの細胞株に比べ, 細胞増殖能, 浸潤能, 遊走能ともに亢進がみられ, 特に浸潤能の亢進が顕著であった。免疫蛍光抗体法では, E-カドヘリン, βカテニン, FAKはいずれの細胞株にも弱陽性であったが, 局在の違いは明らかではなかった。Western blotting法による解析では, FAK, パキシリンともに高転移能を有する細胞株において発現量の増加がみられた。リン酸化蛋白質も125kDa付近のものに増加がみられた。
    以上のことから, 癌細胞のリンパ節転移能の獲得には, 浸潤能の亢進, FAK, パキシリン等のシグナル伝達分子の発現量増加, 蛋白質リン酸化の亢進が重要であることが示された。
  • 黒川 英雄, 山下 善弘, 松本 忍, 高橋 哲
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 307-311
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1981年から1996年までに外科療法を行った舌扁平上皮癌57症例 (N0症例) について, 後発頸部リンパ節転移と臨床病理学的な横因子との関連について検討した。
    1) 後発頸部リンパ節転移は57例中11例 (19.3%) に発現していた。原発巣の腫瘍最大径, 原発巣の深さ, 脈管侵襲の有無, 組織学的悪性度評価が後発頸部リンパ節転移の発現に関連していた。
    2) 原発巣の深さが4mm以上で, 腫瘍最大径が30mm以上, かつ組織学的悪性度評価が17点以上の高悪性型の症例では後発頸部リンパ節転移が高率に発現しており, これらの症例では予防的頸部郭清術の必要性が示唆された。
  • 原田 浩之, 小村 健, 前田 顕之
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 313-317
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1983年1月から2000年4月までに千葉県がんセンターで治療を行った舌扁平上皮癌N0症例のうち, 初回原発巣切除術のみを行った40例を対象として, 頸部後発転移発現に関与する因子の検討を行った。
    頸部後発転移を認めた10例と認めなかった30例について, 臨床的因子としてはT分類, 発育様式, 腫瘍の厚さを, 病理組織学的因子としてはAnnerothの分類による角化度, 核異型度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の深さ, リンパ球浸潤およびAgNOR数, Ki-67 labeling indexについて比較検討した。
    単変量解析の結果, 腫瘍の厚み4mm以上, 角化度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の深さのスコアが3以上, Ki-67 labeling indexが30%以上の症例は, 有意に後発転移の発現率が高かった。
    以上より, 腫瘍の厚みと切除標本における角化度, 核分裂像, 浸潤様式, 浸潤の様式, 浸潤の深さおよびKi-67抗原の発現の評価は, 頸部後発転移発現を予測する因子として有用と考えられた。
  • 田中 信幸, 出張 裕也, 荻 和弘, 山口 晃, 中野 敏昭, 永井 格, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 319-323
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌 (10例) , 口底 (10例) , 下顎歯肉 (4例) 原発のN0の扁平上皮癌症例で片側の肩甲舌骨筋上部郭清術を行った24例について臨床的検討を行った。
    病理学的に転移リンパ節は8例 (33.3%) にみられたが, それらの臨床経過は良好であった。病理学的に転移リンパ節がみられなかった16例中1例が術後にみられた頸部転移により死亡しているが, 他の15例は再発, 転移なく生存している。3個の転移リンパ節が1例で, 1個が7例で認められた。転移リンパ節はlevel 1に6例で, level 2に2例でみられた。被膜外転移巣はlevel 1に2例でみられた。検索症例の大半では, 原発巣の病理組織学的悪性度は比較的高度であつた。
    今回の検索より, 原発巣の病理組織学的悪性度を考慮すれば, 肩甲舌骨筋上部郭清術は診断的効果のみならず治療的効果があがることが示唆された。
  • 青木 伸二郎, 川辺 良一, 藤田 浄秀
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 325-329
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌に対する選択的頸部郭清が行われる際の適用条件をその実施成績から検討した。1989年から1999年の間における肩甲舌骨筋上郭清術42例と保存的頸部郭清術52例を調査した。臨床的N0の症例における組織学的転移陽性は, 肩甲舌骨筋上郭清術群では32例中6例 (14.3%) , 保存的頸部郭清術群では18例中10例 (55.6%) に認められた。両手術群間に, 5年生存率の明らかな有意差はなかった。しかし両手術とも術前治療奏功例では, 非奏効例と比較して, 生存率は良好であった。N1, 2とpN+症例のうち, レベルIV, Vへの転移例は中咽頭癌あるいは中咽頭へ浸潤した症例であった。
    以上より選択的頸部郭清として肩甲舌骨筋上部郭清術が有効に適用される場合の条件として, 術前治療が奏功していることが挙げられる。また中咽頭へ浸潤した口腔癌では, 保存的全頸部郭清術にすべきと思われた。
  • 立川 哲彦, 入江 太朗, 斉藤 雅子, 相田 忠輝, 前田 由紀子, 山本 剛, 土屋 玲子
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 331-337
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    癌細胞の悪性度表現として, 1.腫瘍細胞ないし組織の形態の異型性が強いこと。2.腫瘍の増殖が早く, 腫瘍周囲の組織を破壊すること。3.転移を形成することが挙げられる。たとえば, 核クロマチンの増加や不均一性は核細胞質問の物質交換の亢進あるいは異常な相互作用の反映として見られ, その結果, 蛋白合成過程の異常が出現する。核小体の増大は細胞増殖の亢進, より多くの迅速なRNAのターンオーバーの結果としてみられる。同時に, 細胞分裂は細胞増殖性の亢進, 細胞周期の変調, 染色体異常の発生を示唆するものである。この様に細胞が悪性化し, 増殖能を獲得することにより, 細胞には多様な表現が出現する。本研究では, 癌細胞の悪性度表現について, 免疫組織学的および遺伝子解析を行い, 癌細胞の多様な悪性度を検索した。その結果, 悪性度の表現形質は癌細胞の形質をもっとも良く反映している部位である細胞増殖域を検索することが重要であることを示した。
  • 野口 誠, 金城 尚典, 仲盛 健治, 久保田 裕美, 木戸 幸恵, 竹村 佳奈子, 宮崎 晃亘, 小浜 源郁
    2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 339-343
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌における核DNA量の予後因子としての意義を検討した。イメージサイトメトリーを用いて, 197例の口腔扁平上皮癌の生検組織のパラフィン包埋切片における腫瘍発育先進部の癌細胞の核DNA量を測定した。得られたDNAヒストグラムの評価として, 超4c率 (4cを越える癌細胞の比率) を用いた。
    197例の超4c率は最低値0から最高値51%にわたり, 中央値は9.7%であった。各種臨床病理組織所見との関連をみると, 癌の進展と悪性度との関連がみられた。全症例の5年累積生存率は75%で, 超4c率9.7%未満群: 90%, 超4c率9.7%以上群: 60%であった。癌浸潤様式 (山本・小浜分類) の各モードごとに超4c率と生存率との関係をみると, モード1および2を除き, 超4c率が低値の群で良好な傾向がみられたが, 推計学的に有意差がみられたのはモード3のみであった。そこで, モード3のみを対象に予後因子の多変量解析を行ったところ, 超4c率が最も独立性の高い因子であった。
    以上より, 超4c率は有用な口腔癌の予後因子となり得ることが示唆された。
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