日本口腔腫瘍学会誌
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過去10年間の顎口腔領域悪性腫瘍の臨床統計
右近 亮子山下 佳雄後藤 昌昭井原 功一郎香月 武
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2002 年 14 巻 2 号 p. 37-43

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抄録

1990年から1999年までの10年間に佐賀医科大学附属病院歯科口腔外科を受診し, 病理組織学的に悪性腫瘍と診断された一次症例148例について臨床統計を行った。
対象患者の男女比は1.8: 1で, 平均年齢は65.5歳であった。発生部位は舌が37.2%ともっとも多く, 以下, 歯肉33.7%, 口底11.5%, 頬粘膜8.8%, 口蓋6.1%などであった。病理組織学的分類では扁平上皮癌が圧倒的に多く85.8%であった。UICCのTNM分類 (1997年) に従って分類すると, T分類ではTis: 0.7%, T1; 24.5%, T2: 35.0%, T3: 12.6%, T4: 27.2%で, 初診時に頸部のリンパ節を触知した症例は57例, 遠隔転移を認めた症例は2例あった。Stage分類ではStage0: 0.7%, Stage I: 21.7%, Stage II: 22.4%, Stage III: 18.2%, Stage IV: 37.0%であった。治療法は化学療法および放射線療法, 手術を組み合わせた集学的治療が63例と最も多かった。Kaplan-Meier法による5年累積生存率は全症例で63.1%, 根治的治療を行った症例では68.6%であった。

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