日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
口腔癌における頸部郭清術後の頸部転移死症例の検討
松永 和秀吉川 博政長田 哲次大部 一成嶋 香織笹栗 正明大石 正道
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 14 巻 2 号 p. 45-51

詳細
抄録
1985年1月から1999年12月までの15年間に当科で口腔癌患者で頸部郭清術を施行した症例のうち術後郭清側に再発をきたし死亡した頸部転移死症例の原発巣および術式, 頸部再発までの期間, 頸部再発部位, リンパ節転移様式について検討をおこなった。
1) 頸部郭清術施行症例271例中pN (+) は173例で, うち術後郭清側に再発をきたし死亡した症例は13例であった。
2) 頸部転移死症例13例の原発巣のうちわけは舌9例, 下顎歯肉3例, 口底1例で, 術後頸部再発までの期間は47日から490日で平均5.3か月で, 13例中12例が術後1年以内に再発をきたした。
3) 頸部転移死症例13例のうち転移リンパ節に被膜外浸潤を認めた症例は11例 (84.6%) で, 頸部再発側でみると14側中11側 (78.6%) に被膜外浸潤リンパ節を認めた。頸部再発側の症例の転移リンパ節最大長径は平均33.4mmで, 最大長径転移リンパ節が被膜外浸潤であった頻度は78.6%と高かった。頸部再発側に被膜外浸潤を認めなかった3側のリンパ節転移様式は3から6領域にわたり平均14個の転移リンパ節を認めた。
4) 頸部再発部位は13例とも術野内の再発で被膜外浸潤を認めた領域や転移リンパ節を認めた領域とほぼ一致していた。
以上のことから頸部転移症例においては, 転移リンパ節のなかに被膜外浸潤を認める場合や被膜外浸潤はなくても3領域以上に多数の転移リンパ節を認める場合には予後が不良であることがわかった。
著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top