日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌頸部郭清症例におけるSIRSの発現と術後合併症との関係
笠原 清弘武田 栄三山内 智博矢島 安朝野間 弘康
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2002 年 14 巻 3 号 p. 79-87

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抄録

全身性炎症反応症候群 (SIRS) は術後合併症や臓器不全などの警告信号としてとらえられ, これらの発生を予防するうえで高い臨床的意義をもつと報告されてきた。しかし, これまで手術侵襲とSIRSとの関係についての報告は主に消化器外科領域からのみであり, 口腔外科領域においては検討されてこなかった。今回我々は1998年1月より2001年12月までに当科で行った, レベルIII以上の頸部郭清術を伴った口腔癌手術55例を対象として検索を行った。
SIRS診断基準のうち2項目以上を満たし, その状態が24時間以上持続した25例をSIRS群, その他30例を非SIRS群とした。SIRS群では56.0%に術後合併症の発生がみられ, 非SIRS群では6.7%であり両者間に有意差が認められた。さらに6例において血中インターロイキン6の術前後の変動を測定した。これらの結果からSIRS患者に対しては, 術後合併症の予防を考慮した注意深い管理が大切であることが示唆された。

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