日本口腔腫瘍学会誌
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それぞれに根治的手術を行った同時性進行重複癌 (下顎歯肉, 胃) の1例
鈴木 円宮田 勝岡部 孝一高木 純一郎田中 眞也車谷 宏草間 薫坂下 英明
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キーワード: 重複癌, 口腔癌, 胃癌, 手術療法
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2003 年 15 巻 4 号 p. 197-203

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抄録

近年, 口腔癌患者において重複癌症例が増加してきた。口腔癌患者のおよそ10%に他臓器原発癌が重複するとされている。今回われわれはそれぞれに対して根治的手術を行った下顎歯肉と胃の同時性進行重複癌を経験したのでその概要を報告する。
患者は80歳, 男性で左側下顎歯槽部の潰瘍を主訴に当科を受診した。生検により高分化型扁平上皮癌と病理組織学的に診断された。上部消化管内視鏡検査で胃癌 (低分化型腺癌) を認めた。胃癌は外科にて切除をされた。次いで歯肉癌に対して放射線治療を行った後, 手術を施行した。病理組織学的に下顎歯肉癌はpT4N2b, 胃癌はpT3NOの進行癌と診断された。現在当科初診より約2年を経過したが術後経過は良好で再発, 転移などの徴候はなく非担癌生存中である。

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