日本口腔腫瘍学会誌
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口腔扁平上皮癌組織におけるFGF-2発現に関する免疫組織化学的検討
長谷 剛志川尻 秀一田中 彰能崎 晋一喜多 万紀子野口 夏代加藤 広禄中谷 弘光中川 清昌山本 悦秀
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2004 年 16 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

線維芽細胞増殖因子-2 (FGF-2) はヘパリン結合型増殖因子のファミリーに属し, 線維芽細胞増殖活性をもつといわれている。そして, FGF-2は正常粘膜に比べて口腔扁平上皮癌で過剰発現し, さらに低分化な症例ほど強く発現すると報告されている。しかし, FGF-2が線維芽細胞の増殖を活性する機序については不明な点が多く, 口腔扁平上皮癌の浸潤・転移についてもFGF-2がどのように関連しているのか明らかではない。今回, われわれは口腔扁平上皮癌に関して腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2の発現を免疫組織化学的に検索し, FGF-2と浸潤・転移との関連性について比較検討した。その結果, 腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2発現型は癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) と癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陰性) に大別された。FGF-2発現型と癌浸潤様式, 所属リンパ節転移の有無および予後との関連について検討すると, 浸潤性が高くなるにつれて癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) を示す傾向があり, 所属リンパ節転移 (+) 症例では癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) を高率に認めた。さらに, 癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) は予後不良であった。以上より腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2発現は口腔扁平上皮癌の浸潤・転移および予後に関与していることが示唆された。

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