日本口腔腫瘍学会誌
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歯原性腫瘍135例の臨床統計的検討
森崎 歩山本 一彦北山 若紫川上 正良村上 和宏桐田 忠昭
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2004 年 16 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

1981年10月から2002年6月までの20年8か月間に, 奈良県立医科大学口腔外科において経験した135例の歯原性腫瘍について, 1992年のWHO分類に基づき臨床統計的検討を行った。組織型別ではエナメル上皮腫が56例と最も多く, 続いて集合性歯牙腫が41例, 複雑性歯牙腫が18例であり, 残り良性腫瘍が17例, 悪性腫瘍が3例であった。初診時年齢は5歳から77歳で平均年齢は29.8歳であった。性別では, 男性71例, 女性64例で, 男女比は1.1: 1であった。部位別は上顎が45例, 下顎が90例であった。エナメル上皮腫, 集合性歯牙腫, 複雑性歯牙腫の好発部位は, それぞれ下顎臼歯部, 上顎前歯部, 下顎臼歯部であった。主訴の大部分が精査依頼であったが, エナメル上皮腫においては腫脹が最も多かった。エナメル上皮腫におけるX線所見は, 多房性が22例, 単房性が14例, 蜂巣状が3例であった。
関連埋伏歯は全症例中39例みられた。隣在歯の歯根吸収はエナメル上皮腫に24例みられた。治療法は摘出が90例, 開窓が16例, 下顎区域切除が12例, 下顎辺縁切除が3例, 上顎部分切除が3例であった。再発は一次症例ではエナメル上皮腫に3例, 二次症例ではエナメル上皮腫に3例, 歯原性粘液腫に1例と悪性エナメル上皮腫に1例に認められた。

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