日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
16 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ―免疫組織化学およびin situ hybridizationによる検討―
    中島 崇樹
    2004 年 16 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    CD44分子は選択的スプライシング機構により, 標準型CD44 (CD44 standard form, CD44s) と変異型CD44 (CD44 variant form, CD44v) を発現し, 癌転移との関連が報告されている。
    本研究の目的は, 舌癌におけるCD44sとCD44vの発現と頸部リンパ節転移との関連性を明らかにすることである。舌癌34症例の生検材料のホルマリン固定パラフィン包埋組織標本を用いてCD44s, CD44v4, CD44v5, CD44v6, CD44v7-8, CD44v9に対する抗体による免疫組織学的染色を行い, 陽性細胞の百分率によりCD44sとCD44vの発現の状態を評価した。
    34症例におけるCD44s, CD44v4, CD44v5, CD44v6, CD44v7-8, CD44v9の平均発現率はそれぞれ64.7%, 52.9%, 88.2%, 64.7%, 70.6%, 52.9%であった。頸部リンパ節転移陽性症例では非転移症例に比べてCD44v6, CD44v7-8の発現が有意に低下していた (P<0.05) 。
    また, ISHを用いてCD44v6 mRNAの発現について検討を行った。その結果, CD44v6 mRNAのシグナルは腫瘍細胞の核内および細胞質に顆粒状に認められ, 特に癌胞巣辺縁部の腫瘍細胞に多く発現していた。頸部リンパ節転移陽性症例では, CD44v6mRNAのシグナル発現が有意に低かった。 (P<0.05) 。変異型CD44の中で, v6, v7-8の検索は, 癌細胞の浸潤能, 転移能を予測するための重要な情報となり得ると考えられた。
  • 長谷 剛志, 川尻 秀一, 田中 彰, 能崎 晋一, 喜多 万紀子, 野口 夏代, 加藤 広禄, 中谷 弘光, 中川 清昌, 山本 悦秀
    2004 年 16 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    線維芽細胞増殖因子-2 (FGF-2) はヘパリン結合型増殖因子のファミリーに属し, 線維芽細胞増殖活性をもつといわれている。そして, FGF-2は正常粘膜に比べて口腔扁平上皮癌で過剰発現し, さらに低分化な症例ほど強く発現すると報告されている。しかし, FGF-2が線維芽細胞の増殖を活性する機序については不明な点が多く, 口腔扁平上皮癌の浸潤・転移についてもFGF-2がどのように関連しているのか明らかではない。今回, われわれは口腔扁平上皮癌に関して腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2の発現を免疫組織化学的に検索し, FGF-2と浸潤・転移との関連性について比較検討した。その結果, 腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2発現型は癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) と癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陰性) に大別された。FGF-2発現型と癌浸潤様式, 所属リンパ節転移の有無および予後との関連について検討すると, 浸潤性が高くなるにつれて癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) を示す傾向があり, 所属リンパ節転移 (+) 症例では癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) を高率に認めた。さらに, 癌細胞 (陽性) ・線維芽細胞 (陽性) は予後不良であった。以上より腫瘍先進部における癌細胞と線維芽細胞のFGF-2発現は口腔扁平上皮癌の浸潤・転移および予後に関与していることが示唆された。
  • 森崎 歩, 山本 一彦, 北山 若紫, 川上 正良, 村上 和宏, 桐田 忠昭
    2004 年 16 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1981年10月から2002年6月までの20年8か月間に, 奈良県立医科大学口腔外科において経験した135例の歯原性腫瘍について, 1992年のWHO分類に基づき臨床統計的検討を行った。組織型別ではエナメル上皮腫が56例と最も多く, 続いて集合性歯牙腫が41例, 複雑性歯牙腫が18例であり, 残り良性腫瘍が17例, 悪性腫瘍が3例であった。初診時年齢は5歳から77歳で平均年齢は29.8歳であった。性別では, 男性71例, 女性64例で, 男女比は1.1: 1であった。部位別は上顎が45例, 下顎が90例であった。エナメル上皮腫, 集合性歯牙腫, 複雑性歯牙腫の好発部位は, それぞれ下顎臼歯部, 上顎前歯部, 下顎臼歯部であった。主訴の大部分が精査依頼であったが, エナメル上皮腫においては腫脹が最も多かった。エナメル上皮腫におけるX線所見は, 多房性が22例, 単房性が14例, 蜂巣状が3例であった。
    関連埋伏歯は全症例中39例みられた。隣在歯の歯根吸収はエナメル上皮腫に24例みられた。治療法は摘出が90例, 開窓が16例, 下顎区域切除が12例, 下顎辺縁切除が3例, 上顎部分切除が3例であった。再発は一次症例ではエナメル上皮腫に3例, 二次症例ではエナメル上皮腫に3例, 歯原性粘液腫に1例と悪性エナメル上皮腫に1例に認められた。
  • 八木原 一博, 岡部 貞夫, 野地 秀彦, 中山 竜司
    2004 年 16 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2004/03/01
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    経口摂取不良の口腔癌患者には胃管栄養が重要な栄養摂取手段である。これまで, 一般的には経鼻胃管が多く利用されてきたが, 審美性と長期使用と言う点では問題がある。そのため, 当科では2002年7月以来, 9名 (再建術後; 2例, 頸部外照射後; 3例, 原発巣非制御; 4例) の口腔癌患者にPTEGを施行した。
    本法は局所麻酔下に施行し, 翌日から使用できた。また, 大きなトラブルは全例認められず, 本法の使用期間は2か月~1年3か月 (平均5.9か月) であった。本法は長期在宅患者におけるQOLの向上に有用である。
feedback
Top