日本口腔腫瘍学会誌
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頭頸部領域の腺樣嚢胞癌における腫瘍進展範囲-CT所見と病理組織学的所見との関係
杉浦 一考中山 英二石橋 浩晃吉川 博政清島 保神田 重信大石 正道白砂 兼光
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2004 年 16 巻 2 号 p. 57-65

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抄録

目的: 頭頸部領域の腺様嚢胞癌 (ACC) において, CTで描出される腫瘍発育様式のパターンと腫瘍進展の病理組織学的所見との関連性を明らかにすること。
対象と方法: 頭頸部領域の腺様嚢胞癌15例について, CTで描出される腫瘍発育様式の違いにより, 症例をwell-defined massive type (M型) とdiffuse invasive type (1型) の2群に分けた。一方, 術後の切除標本から, 周囲組織への腫瘍浸潤状態 (切除断端の腫瘍細胞の存在, 神経浸潤, 血管浸潤) を病理組織学的所見として評価した。また, ACCの病理組織亜型を管腔型, 篩状型, 充実型の3型に分類した。これらのCT所見と病理組織学的所見との関連性を分析した。
結果: 篩状型においてはM型が, 充実型においてはI型が優位であったが, 明らかな関連性は指摘できなかった。CTで描出される腫瘍発育様式の違いと予後との明らかな関連は認められなかった。
結論: 頭頸部領域の腺様嚢胞癌において, CTで描出される腫瘍発育様式の違いと病理組織学的な特性には明らかな関連性が認められなかった。そしてCTで描出される腫瘍発育様式の違いに関わらず, 腺様嚢胞癌は局所浸潤傾向が強く, 病理組織学的な腫瘍進展範囲はCT上で描出される範囲よりも広範囲にわたって浸潤していた。

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