2005 年 17 巻 2 号 p. 131-136
高齢化社会を迎え, 痴呆症を有し口腔癌を発症する高齢者も増加してきている。この様な患者の治療は大変困難である。
最近われわれは, 痴呆を有する高齢者の口腔癌患者を3症例経験し, 様々な治療上の問題点が明らかとなった。
痴呆症を有する患者との意思の疎通は困難であり, 疾患・診療に対する理解が得られないため, 入院管理が非常に困難である。合併症や痴呆に起因する様々な要因により, 治療法の選択に制約がある。またさらに家族の治療への積極的な協力が得にくく, 治療はより難しくなる。
痴呆を有する患者の治療方針を決定する際には, 腫瘍の進展度全身状態, 合併症だけでなく, 年齢, 痴呆の重症度患者のQOL, 家族の意向等を考慮することが重要であると考えられた。