日本口腔腫瘍学会誌
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新分類 (WHO: 2005年) による歯原性腫瘍の臨床統計的検討
西 裕美東川 晃一郎島末 洋平岡 美里宮内 美和井上 伸吾高田 隆鎌田 伸之
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2006 年 18 巻 2 号 p. 39-47

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抄録

1988年4月から2005年10月までの17.5年間に当科を受診し, 臨床的, 病理組織学的に歯原性腫瘍と診断された250例について, 2005年に改定された歯原性腫瘍の新WHO分類に基づいて検討した。その結果, 全例が良性腫瘍であったがエナメル上皮腫の悪性転化が1例あった。歯牙腫が68例と最も多く, 集合性歯牙腫46例, 複雑性歯牙腫22例であった。次いで, 角化嚢胞性歯原性腫瘍が55例, エナメル上皮腫48例で, この3者で全体の68.4%を占めていた。その他, 腺様歯原性腫瘍7例と歯原性石灰化上皮腫5例, 石灰化嚢胞性歯原性腫瘍4例とエナメル上皮線維歯牙腫1例, 間葉性腫瘍グループとして粘液線維腫とセメント芽細胞腫が各3例, 骨関連病変として骨性異形成症35例と骨形成線維腫7例, 線維性異形成症4例, 単純性骨嚢胞・脈瘤性骨嚢胞9例があった。全体の男女比は1: 1.14とやや女性に多かった。主訴で最も多かったのは, X線撮影による異常を指摘され精査を求め来院した例が72例, 次いで腫脹60例, 疼痛49例で, 歯牙腫では萌出遅延により来院した例が多かった。発生部位では下顎に多く, ほとんどは臼歯部に発生していたが, 左右差はなかった。治療法としては, 大部分の症例で腫瘍摘出を行った。摘出後閉鎖創を選択したエナメル上皮腫6例 (31.5%) , 角化嚢胞性歯原性腫瘍4例 (13.3%) , 骨性異形成症1例 (16.7%) , 摘出後開放創を選択した角化嚢胞性歯原性腫瘍2例 (20.0%) に再発がみられた。

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