日本口腔腫瘍学会誌
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細胞診の口腔外科臨床への応用―口腔外科医の立場から―
関根 浄治
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2007 年 19 巻 4 号 p. 190-194

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抄録
口腔病変のほとんどは生検術が容易であることなどから細胞診が病理組織診断に取って代わることができ難い面もあるが, 近年口腔細胞診断技術の進歩により, 種々の口腔病変の細胞診断基準が確立されつつある。
口腔細胞診においてまず判断すべき点は炎症か腫瘍かの鑑別である。次いで悪性所見の有無を判定するわけであるが, 口腔という特殊環境下では炎症や細菌の影響を受けた細胞像の判定に難渋することがある。一方, 唾液腺腫瘍の細胞診においては, 良悪の判定が困難な場合もある。
本稿では, 口腔細胞診で何がわかるか?今後どのように応用するか?について口腔外科医の立場から述べるとともに, 術中細胞診の応用や核異型度解析による口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移の予測法について概説する。
口腔外科医の立場からは, 1) 細胞診の精度の向上, 2) 各種口腔疾患の細胞診断基準の確立, 3) 微小検体を用いた分子生物学的解析などを今後の細胞診に期待したい。
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