日本口腔腫瘍学会誌
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歯肉および硬口蓋癌T1, T2症例に対するインドシアニングリーン生体染色の臨床病理組織学的検討
岩本 修古賀 千尋倉富 慶太郎津山 治己楠川 仁悟
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2008 年 20 巻 1 号 p. 11-18

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抄録
角化上皮である付着歯肉や硬口蓋に限局した口腔癌にはヨード生体染色法の適応は困難になる。そこでわれわれは, 赤外線吸収能を有するインドシアニングリーン (ICG) が歯肉および硬口蓋癌T1, T2症例の病域検出に効果的であるかを検討した。対象の7症例 (歯肉癌T1: 3例, T2: 2例, 硬口蓋癌T1: 2例) はすべてICG溶液に対する呈色反応を示し, 赤外線照射画像にてより明瞭に病巣範囲を確認することができた。赤外線吸収画像には高吸収領域と低吸収領域を認め, 前者は癌領域で後者は上皮性異形成領域に一致していた。また, 癌組織を抗アルブミンポリクロナール抗体を用いて免疫組織化学的に検討したところ, 癌部は陽性で正常扁平上皮部は陰性を示したことから, 癌組織のアルブミンがICG染色機序に関与していることが考えられた。これらの結果から, ICG生体染色法は赤外線を併用することによりT1, T2の歯肉癌, 硬口蓋癌の病域検出に有用であることが示唆された。
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