日本口腔腫瘍学会誌
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腎透析患者の舌に発症した紡錘形細胞癌の一例
高橋 喜浩水城 春美松島 りん太郎福山 義邦清水 正嗣横山 繁生
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キーワード: 紡錘形細胞癌, , 腎透析
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1991 年 3 巻 2 号 p. 233-238

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抄録

紡錘形細胞癌は, 肉腫を思わせる像を呈する稀な型の腫瘍であり, 口腔内では, 下口唇, 舌, 口底などに多いとされている。また, 慢性腎不全患者における悪性新生物の発生率は正常人に比し高いといわれている。われわれは, 腎透析患者で40歳男性の舌に発症した紡錘形細胞癌の1例を経験した。
1990年8月頃, 右舌縁部に腫瘤を自覚。透析時に内科医の診察を受け, 同医の紹介にて1990年8月7日右舌縁部の腫瘤形成を主訴に当科を受診した。なお, 患者は1986年4月より慢性腎不全にて透析治療中であった。
初診時, 右舌縁に直径約17mmの有茎性ポリープ状の腫瘤を認めた。
同年8月23日, 外来局麻下に腫瘍切除術を施行した。病理組織診断は紡錘形細胞癌であったため, 徐放性テガフール製剤 (サンフラールS) の経口投与を開始し, 同年9月14日, 全麻下に根治的右舌の部分切除を施行した。術後9カ月の現在, 再発や転移の兆候はない。

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