1991 年 3 巻 2 号 p. 223-232
口腔癌により, 下顎骨区域切除を伴う腫瘍切除後に, 大胸筋または広背筋の骨筋皮弁を用いて再建した6症例について検討を加えた。これらは, 4症例が新鮮進展例, 2症例が再発例であった。
使用した骨筋皮弁は, 肋骨付大胸筋皮弁が1例, 肋骨付広背筋皮弁が2例, 胸骨付大胸筋皮弁が3例であり, 肋骨付大胸筋皮弁症例を除く5例が成功した。これらの中では, 胸骨付大胸筋皮弁が機能性, 審美性共に最も有用と思われた。
最近, 下顎骨を含む欠損に対して, 肩甲皮弁などの微小血管外科を応用した再建法の有用性が報告されているが, 有茎骨筋皮弁も簡便で短時間に挙上が可能であり, 今後も利用価値が高いものと考える。