日本口腔腫瘍学会誌
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当科における過去10年間の多形性腺腫の臨床統計学的検討
加藤 幸弘市原 秀記藤塚 秀樹奥村 康明奥田 孝兵東 巌佐木 宏吉奥富 直安岡 忠土井田 誠立松 憲親岡 伸光
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1992 年 4 巻 1 号 p. 29-36

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抄録
1981年10月から1991年9月までの過去10年間に当科で取り扱った病理組織学的に多形性腺腫と診断された30症例について臨床統計学的検討を加え報告する。
対象患者は男性が8例, 女性が22例, 年齢層は16歳から75歳で平均年齢は46.0歳であった。発生部位は小唾液腺由来は24例でその内訳は口蓋腺17例・頬腺3例・口唇腺3例・前舌腺1例, 大唾液腺由来は6例でその内訳は顎下腺4例・耳下腺2例であった。治療法は全例, 外科的摘出術が施行されていた。
病理組織学的診断としては, 27例が多形性腺腫, 3例がCarcinoma in pleomorphic adenomaでその原発は小唾液腺 (口蓋1例, 頬粘膜1例, 口唇1例) であった。これらは術後化学療法が施行されていた。
予後では, Carcinoma in pleomorphic adenomaを含む全例に再発・転移は認めなかった。
唾液腺腫瘍の治療にあたっては, 臨床的に良性所見を呈していても詳細な病理組織学的検索が必要であると思われた。
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