抄録
頸動脈小体腫瘍は稀な疾患である。今回われわれは選択的頸動脈造影にて頸動脈小体腫瘍と診断可能であった1例について報告する。
症例は, 43歳女性。頸部の無痛性腫瘤を主訴に, 1990年12月13日埼玉県立がんセンター口腔外科受診。選択的頸動脈造影にて, 腫瘍は血流に富み, 頸動脈分岐部に位置し, 栄養血管が外頸動脈の枝であることが明確となり, この所見より頸動脈小体腫瘍 (Shamblin I型) であると診断可能であった。腫瘍は全身麻酔下にて容易に摘出可能であった。病理組織学的には, 傍神経節腫であった。術後経過は良好である。