日本口腔腫瘍学会誌
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幼児にみられたエナメル上皮線維腫の1例
原田 博史楠川 仁悟大内田 美保田中 俊一翁 玉香亀山 忠光
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1992 年 4 巻 2 号 p. 286-293

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抄録

エナメル上皮線維腫は非常に稀な混合性歯原性腫瘍で, 歯原性上皮と間葉組織の増殖からなり, 歯牙硬組織形成を認めないのが特徴とされている。一般に大半は20歳以下の若年者で, 下顎に多く発生するといわれる。
今回われわれは1歳半女児に先天性にみられた周辺性と思われるエナメル上皮線維腫を経験したので若干の文獣的考察とともにその概要を報告する。症例は1歳半女児で, 厄相当歯槽部の腫瘤形成を主訴に1991年8月21日当科受診した。E相当歯槽頂部に大豆大, 弾性軟, 表面凹凸不整, 頂部に白色を呈する潰瘍を伴う有茎性腫瘤を認め, 先天性エプーリスを疑い入院の上, 全麻下に9月6日腫瘍切除術さらに腫瘍の完全な切除を期し, 9月13日厄抜歯および拡大切除術を施行した。病理組織学的には, 幼若な線維組織中に索状あるいは塊状の歯原性上皮の増生を認め, エナメル上皮線維腫と診断した。術後1年の現在経過観察中で, 再発は認めず, Eはほぼ完全に萌出している。

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