日本口腔腫瘍学会誌
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悪性腫瘍患者の当科における臨床統計的観察
―最近15年間の285例について―
向井 洋杉原 一正吉田 雅司石神 哲郎山下 佐英
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1993 年 5 巻 1 号 p. 19-28

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抄録
1976年1月から1990年12月までの15年間に, 鹿児島大学医学部歯科口腔外科および鹿児島大学歯学部第1口腔外科において, 治療を行った悪性腫瘍患者285例を対象として臨床統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
1.対象症例285例中, 癌腫は267例 (93.7%) , 肉腫は16例 (5.6%) , その他は2例 (0.7%) であり, また, 性別は男性173例, 女性112例で, 男女比は1.5: 1であった。初診時年齢は21~92歳, 平均59.8歳, 年齢分布では60歳台 (30.9%) が最も多かった。
2.癌腫267例の初発症状としては, 疼痛 (29.6%) , 腫瘤 (27.9%) , びらん・潰瘍形成 (20.0%) が多く, 一方, 一次症例271例の発生部位では, 舌が103例 (38.0%) と圧倒的に多かった。
3.組織型別では, 扁平上皮癌が234例に達し, 全体の82.1%, 癌腫の87.6%を占めていた。
4.治療法としては, 術前化学療法後に手術を行ったものが87例 (30.5%) , 手術単独が85例 (29.8%) などであった。
5.一次症例271例の5年累積生存率は66.3%, 組織型別では, 癌腫は67.1%, 肉腫は45%, その他の悪性腫瘍は100%であった。
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