抄録
口腔扁平上皮癌剖検例10例について, 免疫組織化学的検討を行った。症例は, 男性5例, 女性5例で, 年齢は39~88歳, 原発部位は頬粘膜4例, 舌3例, 上顎2例, 軟口蓋1例で, 病期分類はstage II1例, III2例, IV7例であった。治療法は, 外科+放射線療法5例, 外科+放射線+化学療法4例, 放射線+化学療法1例で, 生存期間は7か月~38年であった。高分化型4例, 中分化型4例, 低分化型2例で, 細胞異型および構造異型は8例で認められた。浸潤様式は2型, 3型各1例, 4C型5例, 4D型3例であった。間質反応のリンパ球浸潤の程度は, 認められないもの3例, 軽度6例, 高度1例であった。CEAとkeratinは, 全例陽性であったが, その局在は症例により差がみられた。SCCは, 低分化型の1例を除き, 全例陽性であった。SCC, CEA, ケラチンの局在は腫瘍細胞の分化の程度を示す指標となると思われた。