日本口腔腫瘍学会誌
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5 巻 , 1 号
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  • 金 在哲
    1993 年 5 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    Bogden らにより報告されたマウス腎被膜下移植法 subrenal capsule assay (SRC法) は, 個々の癌患者に対する優れた制癌剤感受性試験である。しかしながら本法には宿主免疫反応が惹起される点などに依然として問題がある。
    一方, ペプロマイシン (PEP) は, ブレオマイシン (BLM) の誘導体で, 広いスペクトラムをもち, 肺毒性は BLM と比較して低いといわれている制癌剤である。また一般に口腔領域の扁平上皮癌, とくに高分化型扁平上皮癌に対し, しばしば用いられる。しかしながら臨床において高分化型扁平上皮癌に対する無効例を経験することがある。
    そこで本研究では口腔領域扁平上皮癌の PEP に対する感受性の詳細について, 川原らの改良法を用い, 上記の問題点について詳細に検討を行った。マウスはX線照射して免疫抑制したものを用い, 移植後1, 3, 5日目に PEP を総投与量60.0mg/kgを投与したとき, 他の方法に比べて最も高い腫瘍増殖抑制効果を認めた。
    ついで72例の症例について検討したところ, その評価可能率は100%であった。このうちの56例で腫瘍の分化型と SRC 法の結果について検討を行ったところ, 高分化型扁平上皮癌と他の分化型の扁平上皮癌とでは著明な差異は認められなかった。また臨床効果との比較が可能であった16例について SRC 法の結果と臨床効果とを検討したが, これらには14例 (87.5%) に相関関係が認められた。
    この結果, 改良を加えた SRC 法は高分化型扁平上皮癌に対する PEP の感受性を予測しうる実験系であることが判明した。また PEP は必ずしも高分化型扁平上皮癌に効果があるとは認め難いため, PEP を用いた化学療法の前には本法を施行して感受性を検索することの必要性が示唆された。
  • 横尾 恵美子, 丸岡 靖史, 六川 健, 三宮 慶邦, 扇内 秀樹, 下野 正基
    1993 年 5 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌剖検例10例について, 免疫組織化学的検討を行った。症例は, 男性5例, 女性5例で, 年齢は39~88歳, 原発部位は頬粘膜4例, 舌3例, 上顎2例, 軟口蓋1例で, 病期分類はstage II1例, III2例, IV7例であった。治療法は, 外科+放射線療法5例, 外科+放射線+化学療法4例, 放射線+化学療法1例で, 生存期間は7か月~38年であった。高分化型4例, 中分化型4例, 低分化型2例で, 細胞異型および構造異型は8例で認められた。浸潤様式は2型, 3型各1例, 4C型5例, 4D型3例であった。間質反応のリンパ球浸潤の程度は, 認められないもの3例, 軽度6例, 高度1例であった。CEAとkeratinは, 全例陽性であったが, その局在は症例により差がみられた。SCCは, 低分化型の1例を除き, 全例陽性であった。SCC, CEA, ケラチンの局在は腫瘍細胞の分化の程度を示す指標となると思われた。
  • 向井 洋, 杉原 一正, 吉田 雅司, 石神 哲郎, 山下 佐英
    1993 年 5 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1976年1月から1990年12月までの15年間に, 鹿児島大学医学部歯科口腔外科および鹿児島大学歯学部第1口腔外科において, 治療を行った悪性腫瘍患者285例を対象として臨床統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    1.対象症例285例中, 癌腫は267例 (93.7%) , 肉腫は16例 (5.6%) , その他は2例 (0.7%) であり, また, 性別は男性173例, 女性112例で, 男女比は1.5: 1であった。初診時年齢は21~92歳, 平均59.8歳, 年齢分布では60歳台 (30.9%) が最も多かった。
    2.癌腫267例の初発症状としては, 疼痛 (29.6%) , 腫瘤 (27.9%) , びらん・潰瘍形成 (20.0%) が多く, 一方, 一次症例271例の発生部位では, 舌が103例 (38.0%) と圧倒的に多かった。
    3.組織型別では, 扁平上皮癌が234例に達し, 全体の82.1%, 癌腫の87.6%を占めていた。
    4.治療法としては, 術前化学療法後に手術を行ったものが87例 (30.5%) , 手術単独が85例 (29.8%) などであった。
    5.一次症例271例の5年累積生存率は66.3%, 組織型別では, 癌腫は67.1%, 肉腫は45%, その他の悪性腫瘍は100%であった。
  • 山崎 正詞, 小林 啓一, 岩原 謙三
    1993 年 5 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    進行癌症例に対しては痛みや治療による精神的・肉体的負担の少ない治療手段によりQOLを維持することが望まれる。われわれは手術不能と考えられた進展癌症例に対して, 上甲状腺動脈あるいは外頸動脈からの体内埋め込み式one-shot動注装置を用いた化学療法を試みた。本システムは皮膚穿刺部からの感染の危険がない, カテーテルの閉塞・抜去・切断がない, 入浴・洗髪・髭剃りが可能で, 審美障害もなく日常生活に制限を加えない利点を有していた。また, 頻回の採血や点滴などの栄養補給, 抗癌剤以外の薬液の注入にも利用でき長期間にわたって安全かつ簡便に反復して使用することができた。
  • 鹿渡 靖子, 川尻 秀一, 熊谷 茂宏, 中川 清昌, 山本 悦秀
    1993 年 5 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1978年から1992年までの過去15年間に当科で治療を行った上顎歯肉扁平上皮癌患者は14例であった。そのうち, 腫瘍の発生部位, 義歯との位置的関係および義歯の装用状況の観点から, 癌発症に義歯の関与が示唆された7症例を対象とし, これらの臨床病理学的検討を行った。
    対象患者は男性2例, 女性5例であり男女比は1: 2.5であった。67歳から94歳にわたり平均年齢は79歳であり7例中6例が70歳以上であった。腫瘍は片側の臼歯部, 口蓋部, 上顎結節の義歯床下より発生した。無痛性の主訴が多く, 初診時すでに進展していた症例も多かった。しかし, すべて外向性発育を呈し, 所属リンパ節転移や遠隔転移は認められなかった。また組織学的には低悪性度と考えられる分化型扁平上皮癌であった。義歯の装用期間は長年にわたり, 夜間就寝時もほとんどはずすことなく装用した。これらより, 長期にわたる義歯の不適切な使用が発癌に関与していることが示唆された。
  • 鈴木 徹, 松下 文彦, 鈴木 浩之, 北川 善政, 山口 万枝, 佐塚 太一郎, 村井 睦彦, 福田 廣志, 橋本 賢二
    1993 年 5 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔内に発生した疣贅状癌の3症例について治療する機会を得た。症例1: 頬粘膜腫瘤にて来院した68歳の男性。症例2: 上顎歯肉腫瘤にて来院した78歳の女性。症例3: 上顎歯肉腫瘤にて来院した95歳の女性。3症例とも, CO2レーザー蒸散を併用した治療を行い, 入院治療を要せず, 治療による創傷も小さく, 術後15か月~20か月の現在経過良好である。
  • 田村 稔, 栗田 浩, 峯村 俊一, 倉科 憲治, 田中 廣一, 小谷 朗
    1993 年 5 巻 1 号 p. 48-59
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1986年1月~1990年12月の間, 信州大学医学部歯科口腔外科において施行された下顎骨再建術にともなって, 金属製プレートが使用された26症例につき検討を加えた。
    26症例中22症例に対し下顎骨区域切除が, 4症例に対し半側切除が行なわれていた。また原疾患別には悪性腫瘍が19症例, 良性疾患が7症例であった。遊離骨移植, あるいは血管柄付骨移植・複合骨付皮弁等による下顎骨即時再建を行なった症例は7症例で, 同二次再建は9症例, そして再建用金属プレート単独での下顎骨再建は10症例であった。
    再建の成功率は, 即時再建群100%, 二次再建群77.8%であったが, 再建用金属プレート単独での再建群では40%と低かった。多くの失敗例で認められた術後合併症は, 術後感染 (9例) , 金属プレートの皮膚露出 (3例) , 金属プレートの脱離 (1例) などであった。
  • 中川 泰年, 豊田 純一朗, 久保田 英朗, 後藤 昌昭, 香月 武
    1993 年 5 巻 1 号 p. 60-69
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1981年11月より1991年11月までに佐賀医科大学附属病院歯科口腔外科を受診し, 病理組織学的に悪性腫瘍と診断され, 治療を受けた1次症例138例について臨床統計的に検討した。
    対象患者は男性84例, 女性54例で, 年齢は16歳から93歳までの範囲で, 平均63.7歳であった。発生部位では舌37例, 下顎歯肉29例, 口底26例, 上顎歯肉15例, 硬口蓋11例, 頬粘膜6例, 顎下部5例, 上顎洞4例, 下顎骨中心2例, 下唇, 耳下腺, 部位不明が各1例であった。病理組織学的診断では117例を扁平上皮癌 (疣贅癌を含む) が占め, 8例が悪性リンパ腫, 4例が腺癌などであった。癌腫1次症例 (上顎洞癌3例を除く) 120例について, UICCのTNM分類 (1978年) に従って分類すると, T分類ではT1: 18例, T2: 55例, T3: 9例, T4: 38例で, 頸部のリンパ節を触知した症例は58例あった。初診時, 全症例とも遠隔転移は認めなかった。Stage別では, StageI: 16例, Stage II: 28例, Stage III: 26例, Stage IV: 50例であった。治療法では化学療法, 放射線療法, 手術を組合わせた集学的治療が48例と最も多かった。Kaplan-Meier法による5年累積生存率は根治的ならびに姑息的治療を行った癌腫全症例で58.9%, 癌腫根治的治療群では63.7%であった。
  • 栗田 浩, 倉科 憲治, 田村 稔, 峯村 俊一, 田中 廣一, 小谷 朗
    1993 年 5 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上顎洞に原発し, 口腟内に症状を発現した悪性黒色腫の1例を報告した。病理組織学的に本症例は無色素性の悪性黒色腫であった。当科初診時には全身多臓器に転移をきたしており, 臨床経過は不良であった。上顎洞原発の悪性黒色腫の発生頻度, 臨床症状および予後不良の原因などについて考察した。
  • 近藤 誠二, 梅田 浩将, 藤井 秀紀, 河原 雅朗, 高木 慎, 西嶋 克巳
    1993 年 5 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    神経鞘腫は神経原性の良性腫瘍で顎口腔領域に好発すると言われている。われわれは比較的まれな左側頬部に発生した80×50×30mmの大きさの本腫瘍を経験した。本症例は顔貌の非対称, X線写真上で上顎の吸収が見られ, 病理学的にAntoni分類の混在型であった。
    過去30年間に本邦で報告された頬部から翼口蓋窩, 側頭下窩にかけて発生した神経鞘腫は女性に多く, 平均年齢は37.7歳で, 病理学的には混在型が多かった。
  • 神部 芳則, 鹿島 勇, 山下 孝
    1993 年 5 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    近年, 多重複癌の発生頻度が増加傾向にある。しかし, その全ての腫瘍が根治的に治療された例は極めて少ない。
    今回われわれは, 67歳女性に生じた異時性四重複癌の1症例を経験した。第一癌は胃癌 (signet ring cell carcinomaを混在するpoorly differentiated adnocarcinoma) で, 第二癌は左乳癌 (solid-tubular carcinoma) , 第三癌は右乳癌 (scirrhous carcinoma) であり, その経過観察中に第四癌である頬粘膜癌 (squamous cell carcinoma) を認めた。それぞれの腫瘍の発生部位, 組織型は全て異なっており, 全ての腫瘍が積極的に治療された。頬粘膜癌治療後3年経過するが, 全ての部位で経過良好である。
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