日本口腔腫瘍学会誌
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アパタイト多孔体ブロックによる下顎エナメル上皮腫切除後の再建
大月 佳代子大西 正俊辻 政秀渡井 幸雄
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1996 年 8 巻 1 号 p. 33-44

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抄録
ヒドロキシアパタイト多孔体ブロック (以下, アパタイトと略) による下顎エナメル上皮腫切除後の再建症例について報告する。アパタイトの適応目的を, 我々は構造支持と形態補填とに大別し臨床適用してきたが, 何れの場合にも本材が残存下顎骨からの骨伝導により新生骨との複合体となり一体化すること, すなわち本材が骨形成の場として適用されることを目標としている。そして下顎骨再建へのアパタイトの補填様式は, 便宜上, 1) 部分切除後の骨内補填, 2) 区域切除後の架橋補填, 3) 半側切除後の遊離端補填に分けて適用した。このうち, 前記の2) 及び3) に際しては, アパタイトの物性が単体で周囲下顎骨と強固に固定することは, 不十分である。そのため補填装置として本材を把持固定し, ネジ止め時に残存下顎骨断端と圧迫接合する機能を合わせもつ構造のアパタイト用下顎骨再建チタンプレートを新たに開発して用いた。エナメル上皮腫切除後の再建については, 腫瘍切除後, アパタイトの補填により二次的に行った。
報告症例は, 1983年12月より1994年12月までの問, 当科においてアパタイトを用いた下顎骨再建が行われた5症例である。その内訳は, 構造支持的適用4例 (架橋補填3例, 骨内補填1例) , 形態補填的適用1例の計5例で, 前者の構造支持では, 新たに開発したアパタイト用下顎骨再建チタンプレートを併用したものが2例であった。
術後経過は, 全症例良好である。
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