抄録
この報告はlimphokine activated killer (LAK) 細胞を使った免疫療法と放射線療法の組み合わせにより治療した口腔癌の4症例について述べている。この研究では, われわれは誘導されたLAK細胞の表面フェノタイプと細胞障害活性を分析し, 末梢血リンパ球 (以下PBL) もまた口腔癌患者に対してLAK細胞投与前後で分析された。さらに, われわれは免疫組織化学的手法で抗腫瘍効果のあった部位の変化を観察した。
PBLは口腟癌患者より得, 17~24日間の培養でrIL-2 (塩野義製薬, 700JRU) と抗CD3 moAb (25ng/ml) でLAK細胞を誘導した。患者の腫瘍領域動脈への投与は2回の培養で得られたLAK細胞を8回に分け, それぞれの投与の間隔は2~3日で6.2~17×109LAK細胞がそれぞれの患者に投与された。細胞障害活性は4時間の51Cr遊離試験法を行い, K-562細胞 (E/T=5/1) で測定された。フェノタイプの性格付けは2色の種々のモノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーにより測定された。この時測定された細胞はLAK細胞と口腔癌患者へのLAK細胞投与前後のPBLであった。
結果は, 細胞障害活性はLAK細胞の平均で74.6%であった。LAK細胞の投与前後のPBLの細胞障害活性はin vitroの測定で低下傾向を示した。フェノタイプの性格付けでは, LAK細胞の平均でCD8+/CD11-細胞とCD3+/HLA-DR+細胞が増加した。LAK細胞投与前後でPBLの平均ではCD4+細胞が増加しCD8+/CD11-細胞, CD3+/HLA-DR+細胞そしてCD8+/CD11+細胞が減少していた。LAK細胞投与後では, 症例1においてUCHL-1+細胞とHLA-DR+細胞が腫瘍周囲に著明に増加した。