1996 年 8 巻 2 号 p. 86-93
非常にまれな上顎洞の腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告し, 本腫瘍の単一ケラチンの局在について併せて報告する。ケラチン抗体はK4, K7, K8, K10, K13, K17, K18, K19, K20とKL1, K8.12を使用し, 免疫染色はABC法にて行った。
腺扁平上皮癌は非常にまれで文献検索により, 1966年より現在までに世界で36症例報告され, 特に上顎に発生したものは3症例のみできわめてまれな腫瘍であった。
本腫瘍は病理組織学的に管状構造を示す腺癌部と分化度の低い扁平上皮癌部からなっており, 免疫組織化学的に管状構造物はK8-18のケラチンペアをつくり, 扁平上皮部はK7, K10に強く染まりK7-17のケラチンペアをつくっていた。