抄録
根治手術と即時再建手術を行った舌癌24症例に対して, 術後の構音機能を評価した。対象症例の内訳をT分類別に見ると, T1症例が4例, T2症例が11例, T3症例が8例, T4症例は1例であった。軟組織の再建方法別では, 遊離前腕皮弁移植症例が19例, 大胸筋皮弁移植症例が3例, 腹直筋皮弁移植症例が2例であった。舌の切除範囲別では, 可動部半側切除症例が10例, 半側切除症例が13例, 亜全摘出症例が1例であった。その結果, 治療方法との関連では原発腫瘍が大きく, 舌の切除範囲が大きくなると術後の構音機能は低下していたが, 再建方法による差異は明らかではなかった。また前腕皮弁移植症例ではT分類, 舌の切除範囲と切除様式, および再建方法が決定されれば術後の構音機能をある程度示せるようになり, 患者に提供する情報としては従来より質の高いものとなった。