日本口腔腫瘍学会誌
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歯原性腫瘍56例の臨床統計学的分析
今村 英夫稲井 哲郎豊田 純一朗井原 功一郎角田 隆規後藤 昌昭香月 武久保田 英朗
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1997 年 9 巻 4 号 p. 276-281

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抄録

1992年にWHO歯原性腫瘍の組織学的分類が改訂された。そこで, 1981年10月から1995年12月末までに当科を受診し, この新分類に従って病理組織学的に歯原性腫瘍と診断された56例について臨床統計学的分析を行った。
1.組織型では, エナメル上皮腫 (23例, 41.1%) が最も多く, 次いで歯牙腫 (22例, 39.3%) , 良性セメント芽細胞腫 (3例, 5.4%) であった。また, 悪性腫瘍は2例 (3.6%) で, 歯原性明細胞癌1例, 原発性骨内癌1例であった。
2.性別では, 男性29例 (51.8%) , 女性27例 (48.2%) であった。
エナメル上皮腫の発生は, 男性に優位であった。
3.受診年齢は, 6歳から83歳 (平均年齢: 32.1歳) であった。エナメル上皮腫は40歳代に最も多く, 歯牙腫は20歳未満に好発していた。
4.部位別では, 上顎より下顎の発生頻度が高かった。下顎臼歯部に最も多くみられ, 組織型ではエナメル上皮腫が最も多かった。

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