日本口腔腫瘍学会誌
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上顎歯肉・硬口蓋癌の臨床病理学的検討
―上顎洞癌との比較―
岡部 貞夫渡部 隆夫松木 清弘松木 繁男出雲 俊之
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1997 年 9 巻 4 号 p. 301-306

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抄録
1975年11月から1995年12月までの約20年間に, 埼玉県立がんセンター口腔外科で治療した顎口腔領域扁平上皮癌一次症例413例のうちの上顎歯肉癌22例, 硬口蓋癌8例の計30例について上顎洞癌30例と比較して臨床像および病理組織像について検討し報告した。
上顎歯肉・硬口蓋癌の特徴として, その頻度は顎口腔領域扁平上皮癌症例の7.9%であった。中でも硬口蓋癌は特に少なかった。性別では, 相対的に女性の占める割合が多かった。年齢では, 平均が約70歳と高齢であった。T分類では半数以上が1, 2症例であったが, Stage分類ではI, II症例はわずかに36.7%であった。病理組織像のWHO分類では, IIIは認めず, I, IIが同数であり, また角化傾向を認めない症例はなかった。山本・小浜の浸潤様式では, 1型および4D型は認めず, 2型, 3型, 4C型がほぼ同数であった。治療法は, いわゆる上顎癌の三者併用療法変法に加えて, 放射線外照射+レーザーによる腫瘍減量療法を行い, 治療成績は累積生存率で3年, 5年ともに78.3%であった。
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