抄録
1980年から1984年までの5年間に広尾病院小児科に喘息発作で入院した小児を対象として約20年後の予後調査を行った.2001年11月に239名にアンケートを送付しその内101名から回答を得られた(42.3%).その結果,有症率は初診時の重症度で異なり,軽症90.6%,中等症48.2%,重症18.2%,全体での寛解率は50.5%であった.対象者の基本因子(初発年齢,現在年齢性別,重症度,入院回数,喘息のタイプ,IgE 値)と予後との関係をロジィスティック回帰分析を用いて分析した.その結果,初診時の重症度がもっとも強く関連していた.有症者の43.7%(重症者6/18,中等症者15/30)が非発作時の治療を行っていなかった事から,今後初診時に重症と診断された者には,患者本人と保護者に対し喘息発作の治療のみならず,喘息の病態,予防的長期管理の重要性など患者教育を行う必要があると考えられた.