抄録
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2005がもたらした小児気管支喘息治療の変化を見るために,JPGL2005発刊前に施行されたアンケート2005と,発刊の1年後に施行されたアンケート2006を比較した.またアンケートの設問上の問題を是正するために点数化を行ない,アンケート2003も含めて検討した.
急性発作時の治療に関しては,キサンチンの静注・点滴静注が減り,ステロイドの全身投与が増加した.大発作でのイソプロテレノール持続吸入と呼吸不全での気管内挿管・人工呼吸も増加した.これらの変化は,アンケート2005から2006にかけてより強く表れており,JPGL2005の影響が示唆された.
長期管理薬では,テオフィリン徐放製剤の衰退と吸入ステロイド薬の躍進がJPGL2005の改訂後に目立った.一方ロイコトリエン拮抗薬は,JPGL2005改訂前にすでに選択する医師が増加していた.
今回の検討で,JPGL2005がもたらした小児喘息治療の変化が明らかとなったが,なお JPGL には多くの課題が残されており,JPGL の普及とともに,更なる改良が望まれる.