日本小児アレルギー学会誌
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原著
食物アレルギーモデルマウスにおける食物抗原負荷後の小腸炎症性変化に関する病理学的検討
中村 俊紀上野 幸三北林 耐板橋 家頭夫
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2008 年 22 巻 2 号 p. 259-266

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抄録
目的:OVA で感作した食物アレルギーモデルマウスを用い,小腸粘膜の病理学的変化を検討し,炎症の好発部位を明らかにすること.
方法:Nc/Jic マウスを用い OVA を経口負荷し,負荷群(n=7)と対照群(n=7)との2群間で小腸全体にわたる炎症重症度,絨毛浮腫様変化の発症率,肥満細胞数を測定し比較検討した.評価は小腸全体と3分割および30分割して比較検討を行った.
結果:OVA 負荷群では,対照群に比して小腸粘膜における炎症重症度および絨毛浮腫発症率が全体で有意に高く,3分割では幽門側と中央部で有意差が認められた.30分割による検討でも OVA 負荷群の幽門側に有意に重症度が高く,浮腫様変化を来している部位が認められた.肥満細胞数は OVA 負荷群では有意に減少しており,3分割では幽門側部で有意な減少を認めた.30分割による詳細な検討では幽門側と中部において有意な減少を示す部位が認められた.
結論:本実験モデルにおいては,OVA 負荷により小腸幽門側にアレルギー性の炎症が起こりやすいことが明らかとなった.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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