2008 年 22 巻 3 号 p. 369-378
喘息のより良いコントロール状態を得るためにはガイドラインに沿った治療の推進が望まれるが,忙しい日常診療での実践は容易ではない.外来で簡単に利用できる保護者向けの問診票と担当医向けのチェック表を作成し,その効果を検討した.対象は,北陸3県(福井,石川,富山)の39施設(4大学病院,16病院,19診療所)に定期通院中の喘息児(0~15歳)938名.来院時に問診票とチェック表で現在の治療内容を検討し,その1か月後の状態を喘息症状の頻度と程度で評価した.当初治療不十分と判断された児(全体の27.5%)のうち60.2%が1か月後に1段階以上改善した.また,治療不十分群のうち実際に治療変更が行われた児(46.1%)の方が,変更しなかった児に比して喘息症状が改善している児の割合が有意に高かった(77.4% vs 39.1%,p<0.001).以上より,簡単な方法を用いた介入を行うことによって,喘息のコントロール状態を改善させられる可能性が示唆された.今後,より簡便で効果的なツールの開発が望まれる.