抄録
Watson と Crick によりゲノムの実態としての DNA の構造が明らかにされて以来約50年間でヒトゲノムの DNA 配列が完全に解読された.そして DNA チップ技術など網羅的ゲノム解析手法が登場し,アレルギー疾患発症や病態進行に影響する数多くの疾患感受性遺伝子や新規分子が報告されている.これらの新たな解析手法により,当初期待されたオーダーメイド医療などは未だ実現していないものの,アレルギー疾患の分子病態としての理解は飛躍的に進歩した.これらのゲノム網羅的解析手法を本来期待されているレベルまで生かすためには,十分な臨床情報の蓄積,およびゲノム情報の理解に基づく臨床医による患者へのフィードバックが必要であろう.