日本小児アレルギー学会誌
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第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム3 環境因子がアレルギー疾患の発症に及ぼす影響と発症予防の可能性について
衛生仮説とアレルギー疾患
松本 健治
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2009 年 23 巻 1 号 p. 69-74

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抄録
衛生仮説(Hygiene Hypothesis)とは,乳幼児期のウイルスや endotoxin への曝露が adjuvant として働き,吸入抗原に対する免疫応答を Th1 側に偏向することによって,その後のアレルギー疾患の発症を抑制する現象を指す.一方,弱毒で本来極めて common な上気道感染を引き起こすはずのウイルス(respiratory syncytial virus や rhinovirus)や,弱毒の細菌に対する応答性が障害されている個体では,これらのウイルスによって喘鳴が惹起されたり,細菌の排除が正常に行われない可能性が示唆される.そしてこの様な局所における免疫系の障害された個体が気管支喘息やアトピー性皮膚炎の High-risk グループであることが明らかとなってきている.今後のアレルギーの発症予防ワクチンの開発の戦略や,アレルギー疾患の発症責任遺伝子の検索と共に,こうしたアレルギー疾患内での病型の解析が同時に行われなければならない.
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© 2009 日本小児アレルギー学会
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