日本小児アレルギー学会誌
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第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム3 環境因子がアレルギー疾患の発症に及ぼす影響と発症予防の可能性について
アレルギー感作における Gene-Environmental Interaction について
鈴木 洋一
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2009 年 23 巻 1 号 p. 62-68

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抄録
乳幼児期に保育所に通園すると,感染症罹患の機会が増えるが,それがその後のアレルギー感作やアレルギー疾患発症にどう影響するのか結論は出ていない.これまで日本人での調査の報告はほとんど無い.また,通園の効果が遺伝子と相互作用を示すかどうかは明らかになっていない.そこで我々は,日本人小学生を対象に,保育所通園の総・特異 IgE 値への影響と通園と遺伝子多型の相互作用が存在するかを検討した.
CD14遺伝子の -550C/T 多型の,C/C と C/T+T/T の遺伝子型の児童に分けて,保育所通園の有無での log(総 IgE)値を比較すると,C/C の児童では有意な差が無く,C/T+T/T の児童では,通園歴のある児童で有意に低かった.また IL-4 受容体α(IL4R)遺伝子 Val50Ile 多型の検討で,Val/Val の児童では通園歴の影響は見られず,Val/Ile の児童では通園歴のある児童が有意に低かった.すなわち,これらの遺伝子の遺伝子型の違いは,通園歴の効果に影響を与えていると思われた.通園歴と CD14 -550C/T 多型ないし IL4R Val50Ile 多型の相互作用は,多変量解析の結果でも有意であった.この2つの遺伝子間の相互作用は有意ではなかった.
保育所通園の小学生の血清 IgE 値への効果は,自然免疫から獲得免疫にわたる複数のメカニズムが関与していると思われた.
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© 2009 日本小児アレルギー学会
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