2010 年 24 巻 1 号 p. 117-119
食物アレルギーのほとんどは小児期に発症し,時には致死的な症状を引き起こすこともあり,また,近年,その有症率の増加が指摘されていることから,その病因・病態の正確な理解に基づく治療法の確立は重要な課題である.食物アレルギーの発症には経口免疫寛容の不成立が関係していると推測されるが,なぜ一部の人に特定の食物に対するアレルギーが成立するのかは未だほとんど明らかにされていない.また,小児期発症の食物アレルギーのかなりの部分は成長とともにその原因食物に対する耐性を獲得し,治癒するが,その機序も未だ不明である.食物アレルギーの発症予防やより早い耐性獲得・治癒を可能とするためにも,発症機序と耐性獲得機序の解明が待たれる.