目的:遮断法による気道抵抗測定装置(MicroRint®)が開発され,気管支喘息の早期診断や長期管理の指標として有望視されている.しかし本装置を用いた日本の健常小児の気道抵抗 (Rint)の標準値は確立されていない.本調査では,定期受診した非発作時の気管支喘息児のRintから年齢と身長による予測式を検討する.
対象と方法:2週間以上無症状の気管支喘息児において気管支拡張薬吸入前後でRint測定を行い,変動率が10%未満の症例における吸入前値を採用して,身長と年齢からのRintの予測式を検討した.
結果:対象の中で上記条件を満たした症例は63例.年齢の中央値は5.3歳,身長の中央値は109cmであった.年齢をx,Rintをyとした場合は y=-0.0529x+0.9552,身長をx,Rintをyとした場合は y=-0.0109x+1.8525 で表される線形回帰式を得た.この回帰式の決定係数 r2 はそれぞれ0.1656と0.2242であり,身長による予測式が高い相関を示した.
結語:Rintは身長との相関が高いことが報告されており,本調査においても同様の傾向が認められた.今後は健常小児を元にした予測式の検討が進むことを期待する.