抄録
食物アレルギーを発症しやすい乳幼児期は成長期でもあるため,食品除去に際しては栄養面と患児および家族のQOLの維持に関する配慮が極めて重要である.明確にアレルゲンと診断された食品の除去は行うが,その他の食品については,むしろ積極的な摂取を行い,摂取食品の選択の幅を狭めないようにする.これまでの栄養指導は,食品除去と除去食品の代替による栄養面の配慮に終始していたが,今後は,正しい抗原診断に基づく必要最小限の食品除去に引き続いて行う「食べること」を目指した積極的治療のためのtailor-made dietが必要となる
食品を低アレルゲン化して積極的な摂取を促すことは食物アレルギー児および家族のQOLの向上に有用であるのみならず,早期のアウトグローにつながる可能性もあり,食物アレルギー児の食生活の豊かさと安全性に寄与するところが大きい.今後は,感作状態と経口負荷試験の結果を生かした食品中の抗原量に基づく食事指導を中心としたtailor-made dietが可能となり,より積極的に耐性の獲得を目指していくことが必要である.